【米国:NPR】ハーバード大学の化学教授が逮捕され中国との関係を偽った容疑について

米国政府が、ボストンエリアの2人の学者を、中国政府との接触について虚偽の証言を行ったとして起訴し、残りの1人は生物学研究を米国外に持ち出そうとしたとして起訴しました。
この件について、米国の公共ラジオである ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)で、くわしく話していますので、内容をご紹介します。

npr 2020/01/28


司会者メリー・ロイス・ケリー:
ハーバード大学の教授が、中国政府との関係について連邦当局に虚偽の証言を行ったとして起訴されました。チャールズ・リーバー教授に対する訴訟は、米司法省がボストンで米国時間12月16日に発表した、中国と関係のある3件の訴訟のうちの1件です。NPR司法担当記者のライアン・ルーカスが詳しくお伝えします。

こんにちは、ライアン。

ライアン・ルーカス: こんにちは。

3つの中国関連の事件、まずハーバード大学の教授から始めましょう。彼について何か御存知ですか?

ルーカス:チャールズ・リーバーはハーバード大学の化学・化学生物学部長です。彼はハーバード大学に30年ほど在籍しており、この分野では非常に有名です。彼は大学の研究グループを率いています。ナノテクノロジーに焦点を当てており、生物学や医学からエネルギーやコンピューターに至るまで、あらゆる分野の非常に小さな技術を扱っています。当局によると、彼は2008年以来、米国政府から1500万ドル以上の研究助成金を受け取っているので、それは国立衛生研究所と国防総省からでしょう。これらの資金には、外国の大学や政府とのいかなる関係、特に財政上の関係を開示することが要求されます。

ケリー:それで彼に何があったのですか?

ルーカス: ボストンで提出された刑事告訴によると、リーバーは2011年に秘密裏に中国の大学とその大学での研究指導の契約を結んでいました。彼はそのことをハーバードに言わなかったのです。彼はまた、中国の千人計画として知られている計画の一部に署名したと伝えられています。米当局者によると、これは中国政府のプログラムで、基本的には米国の研究者や科学者を中国と専門知識を共有するよう誘導することを目的としていると言われています。訴状には、リーバー氏が中国と交わしたとされるこれら2つの契約の写しが添付されています。彼は中国人から十分な報酬を受けていました。訴状によると、最高で月5万ドルの給料をもらっていました。彼は生活費の他に年間約15万ドル、中国の研究室に百万ドル以上の資金を得ていました。

しかし、彼の現在の法的に厳しい状況は、ペンタゴンの捜査官と国立衛生研究所からそれについて尋ねられたときに、これらすべてについて嘘をついたと言われていることです。国防総省と国立衛生研究所からの助成金は、外国人研究者との共同研究を開示することを義務付けています。

ケリー: 分かりました、司法省が発表した他の2件の事件についても触れましたが、どちらも中国に関係しています。それらについてどのような詳細が分かっていますか?

ルーカス: これもボストン地区のものでどちらも中国人に対してです。そのうちの一つは、ボストン大学で研究を行っている中国人女性に対するものです。彼女に対する申し立てには、彼女が中国の軍人であるという事実を隠すためにビザ申請書に嘘をついたことが含まれています。FBIは彼女の電子機器を調査し、彼女が米軍プロジェクトの研究を行っており、ロボット工学とコンピューター科学を専門とする2人の米国科学者の情報を集めていることを発見しました。

もう一つは、ボストンの医療センターでがん細胞の研究をしていた中国人男性に対するものです。彼は、12月にローガン空港で足止めされました。連邦捜査官は、彼の荷物の中の靴下の中に21本の生体材料の瓶が入っているのを発見しました。彼は当初、バッグには何も入っていないと捜査官に話していましたが、後に、自分で調査するためにバイアルを中国に持って行こうとしていたことを認めました。

ケリー: ワオ! では、この3つのケースは、すべて同時に発表されたのは偶然ですか? ここにさらなる大局はありますか?

ルーカス: 大局的には、ナノテクノロジー、ロボット工学、化学、生物医学研究などがあります。マサチューセッツ州の連邦検事アンドリュー・レリングさんは、これは事故でも偶然でもないと言いました。

アンドリュー・レリング: これは、中国の利益のために米国の技術とノウハウを吸い上げていこうとする中国で進行中のキャンペーンの一部です。

ルーカス: つまり、米国政府は、中国政府が米国の知的財産や研究、企業秘密を盗もうとしていると主張していることに、本気で抵抗しようとしているのです。中国は今日私たちが話したようなハイテク分野を意図的に標的にしていると彼らは言います。中国は伝統的な諜報部員だけでなく、実業家、研究者、そしてもちろん学者もこの分野に手をつけようとしていると彼らは言います。

ケリー: ありがとうございました、ライアン。

ルーカス: ありがとうございました。

ケリー: NPRのライアン・ルーカスでした。

トップ画像:ハーバード大学教授チャールズ・リーバー


(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

※ 無断転載厳禁

この記事が気に入ったらシェアをお願いします。