【米国】右翼の反発による経済的損失:少なくとも市場価値280億ドル

米国ではプライド月間による右翼の反発により経済的損失がでているというニュースです。その損失はどのくらいかというと、少なくとも市場価値280億ドル。

わが国でも、LGBTの人たちへの理解増進に向け、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党が与党案を修正した法律が、16日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しましたが、ネットでも右派による抵抗や左派による批判もみられます。

わが国でも、米国のように右翼による反発が強ければ、経済に及ぼす影響がでてくるでてくることが予想されます。

この記事は、AXIOSからご紹介いたします。米国の状況を参考に考える材料の一つにしてください。


《引用記事 AXIOS

S&P500、コールズ、アンハイザー・ブッシュ、ターゲットの株価の推移

アメリカの主要ブランドにとって、社会問題が市場の低迷を生んでいる。たとえば、ターゲット、アンハイザー・ブッシュ、コールズなどは、4月の初めから市場価値で合わせて287億ドルの下落を記録した。

なぜこのことが重要なのか
激しく争われる文化的な問題は、常に政治的な情熱をかきたて、選挙政治に影響を与えてきた。

しかし、米国企業は進歩的な社会の要求と保守派の反発との間に狭まれている状況にある。「Woke 注1」的なすべての事象に対する反応と反攻は、企業がいつでも標的にされる可能性があり、その結果を予測することはできないことを意味している。

(訳注1  Woke ・・・ 社会問題について強い関心を持ち、さまざまな人々の立場などに理解がある人の状態を「woke」と表現するスラング)


このニュースを伝える アンハイザー・ブッシュ・インベブは、4月にSNSのインフルエンサーであり、トランスジェンダーのディラン・マルバニーを起用したことで、不買運動がひろがり、同社の株価とビールの売上が低下しているしている。

この論争により、同社の株式は20%急落し、市場時価総額が数十億円減少した(その後回復したが、3月につけた52週目の高値を大きく下回る水準にある)。

今週、コンサルティング会社Bump WilliamsのNielsenIQデータによれば、バドライトは、アメリカで最も飲まれているビールとしての座を、コンステレーションブランズのモデロに譲る形となった。



これとは別に、コールズ(Kohl’s)とターゲット(Target)の両社は、LGBTQをテーマにした衣料品を販売したことで文化の渦に巻き込まれ、右派の抗議活動が株価を圧迫している。

分析会社のPlacer.aiが、第1四半期の来店数が「大幅に増加」し、収益が増加したと呼んでいるにもかかわらず、コールズ株は、幅広く上昇している市場を下回っている。騒動後、株価は20%以上低迷したが、その後、回復している


プライド月間の商品に対する反発とバンク・オブ・アメリカの格下げにより、ターゲットの時価総額は150億ドル削られた。その後、回復し、現在は630億ドル程度で、5月の740億ドル程度から減少している。



全体像を見ると、これら3つのブランドの急速な市場の不運は、有権者がますます二極化するにつれて、ますます深刻になっている現象の一部である。

政治が実際に経済と金融に与える影響は大きく、投資家がそのリスクを評価することがますます困難になっている。

現在の状態:市場と消費者は気まぐれである。これら3社の株式と市場価値は、初期の反発に直面してから変動し、一部回復している。


ユーラシア・グループのアナリスト、カイリー・ミリケン氏とノア・ダポンテ・スミス氏は先月、クライアントノートに次のように書いている。

「(プライド月間 注2では)多くの企業が、ロゴを変えたり、イベントのスポンサーになったり、テーマに沿った製品を提供したりして、プライドを祝っています。これらの企業の声明は長年広く受け入れられてきましたが、文化戦争の激化により、企業はより反発に対して弱気になる可能性があります」

「保守派は積極的に、トランスジェンダーの権利をより声高に支持する企業に経済的影響を与えようとする一方で、進歩派は、ブランドが包括的であることを期待し、保守派の圧力に対抗してLGBTQ+のサポートを最小限に抑える企業をボイコットするでしょう」と、付け加えている。

結論: プライド月間で企業が示す主に象徴的なジェスチャーは、ビジネスや財務上のリスクへと変化しており、企業にとって左翼と右翼からの反応によって予測不可能な状態になる。そして、どの企業もその反動から逃れることはできない。

訳注2 プライド月間・・・

LGBTQの権利獲得運動の転換点となったストーン・ウォールの反乱が起こったのが6月末だったことから、毎年6月最終日曜日にパレードが開催されるようになり、この週末をプライド・ウィーク(Pride Week)、6月をプライド・マンス(Pride Month)と呼ぶようになりました。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

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