ステファン・ポラード氏 「メイ首相の言葉は無意味であるーEUは10年以内には崩壊する。」 

EXpreee UKの記事から、ステファン・ポラード氏、EUの今後についての意見を紹介いたします。
ステファン・ポラード氏は、英国の作家でジャーナリスト。The Jewish Chronicleの編集者です。

By Stephen Pollard  EXpress UK

PUBLISHED: 00:01, Sat, Sep 23, 2017 | UPDATED: 08:28, Sat, Sep 23, 2017

大々的な計画を述べるスピーチほど、政治家やメディアの人々を興奮させるものはない。昨日のメイ首相による、今後のブレグジット(Brexit)の計画を発表したスピーチは、まさにそれである。しかも、それは、イギリスの外で発表されたー広範囲に報道されることを狙ってのことは明らかである。

ほとんどのコメンテーターたちは、そのスピーチ内容の細かい文脈の解釈をすることに必死だが、私はむしろ以下のことを示唆したい。真剣に議論されなければならないのは、メイ首相のスピーチ内容ではなく、十年以内にEUそのものが崩壊するということだ。

彼女の言葉は、今後1,2年にかけては大いに意味のあることだろう―離脱後2年間の移行期間を設けること、その間のEU予算分担金に相当する額の支払いをすること、それらの合意に向けて動いていることを話題とするならば―しかし、彼女が昨日述べたことは、その2年間に行われること以外、ほとんど何の意味も持たない。

EUはひじょうに時代錯誤であり、内在する矛盾の重荷に苦しんでいる制度である。ほぼ誰も言わないことを言うと、EUは生き残れない。最大限持ちこたえたとしても、10年である。それが、我々(イギリス人)がEU離脱を決めた数ある理由の一つなのである。

離脱する方が圧倒的に利益のあることだと、我々はそう考えるのだが、どのようなコストを払っても、畢生の大事業を成し遂げたいと考えるEUエリートの決意が、結果的には残された加盟国にとって、いよいよ許容できない重荷になるだろう。

その通りである。メイ首相のスピーチは、イギリスの離脱とその後の数年間という意味では、それなりに意義はある。しかし、大きな将来像を考えれば―我々は崩壊寸前の組織から離脱している―となると、彼女の言ったことは、何の意味も持たない。

オランダのいたるところで、ギリシャ、東欧、イタリア、ドイツそしてフランス国内では、絶え間なく押し寄せる難民に対する人々の怒りを鎮めることに対し、何もできないEUの政治家階級への不安感が広がっている。

マクロン大統領とメルケル首相が、自由な移動を制限する何らかの新たな規制について考えているという報道が、毎週のようになされている。しかし、そのすべてが無意味である。その2人も、欧州委員会も、欧州議会も、そして他のEU指導者たちのいずれも、EUが持つ根本的欠陥を何一つ変えていく意志などほとんど持っていない。

代わりに、連帯という名の下結成された、現実から離れたところに存在するEUという世界だけが映る鏡の中の自分の姿を、彼らは気にしている。制度やしくみを言い表すのに、「『連帯』ありきのEU」ほど馬鹿げた合わない言葉は、今まであっただろうか?

今月、欧州裁判所は、(ポーランドといった他の東欧諸国の支持により加盟できた)ハンガリーとスロバキアに対し、EUが割り当てた何千という亡命希望者と考えられる人々を受け入れるよう迫った。

それらの国々が民主的に選んだ政府が何を望もうと、それらの人々が何を望もうと、欧州委員会の命令に逆らうことはできない。自主的な割り当て計画がより賢明ではないのかとの質問に、EU移民委員のディミトリス・アヴラモポロウスはこう答えた:「それは義務です…加盟国のいくつかは、今、連帯が必要なのは明らです。今こそ、連帯の意志を示すべきなのです。」

「連帯」!これは、ストリートで暴動を生じさせるよう計画された政策ほど、圧力をかけるようなものではない。それは、ユーロ通貨危機が最初に起こった時、ギリシャ政府がドイツの命令に従わされた際、まさに我々が見たものである。

EUが持つ根本的な問題は、リーダーたちの現実を見ないで理想に走りすぎることである。自由貿易圏、それはとてもメリットのあることである。しかし、それは、決して最終ゴールではなかった。EUのエリートたちにとって、最終目標は、常に欧州国を作ることであった。スウェーデン、ハンガリー、イタリアそしてドイツといった国々が、いつの日か、見せかけの自国政府ですら持たない決断をするのなら、それは可能である。可能性はあるが、それは起こらないであろう―なぜなら、今や彼らは、自国政府を持たないことなど全く考えていないからである。

しかし、EUのエリートたちは、政治的同盟の前に、先に経済的同盟を推し進める決断をした。しかし、実際は、政治的同盟をヨーロッパに強要している。

その計算違いは、恐ろしい結果をもたらしてきた。各国の間で、これほどまでに大きな経済格差がある中、常に補助金を必要とする地域が存在している。

例えば、アメリカ合衆国では、ケンタッキーのような貧しい州は、余裕のある州から資金援助を受けている。共同体意識、そして一つの国としての価値観が共有されている中では、何ら問題は起こらない。

別々の国家に分かれているヨーロッパでは、そのような意識はない。ゆえに、ギリシャ経済が崩壊する時、ユーロ通貨への信頼維持のため、ギリシャに強いた負担の影響で、怒りはギリシャだけに収まらず、ギリシャ救済の資金提供をしなければならない富裕国でも怒りが起こる。

EUの熱烈信奉者だけが、この制度は持続できないということが見えない。そして、カタルーニャとバスクで分離独立を求める動きがあるスペイン、南チロル地方で強い独立の動きがあるイタリア、フランダース地方で分離独立があるかもしれないベルギー、そしてもちろん言うまでもなくスコットランド、ナショナリストたちの感情が政治を突き動かしている。

経済的、政治的そしてイデオロギー的にも、EUは崩壊している制度である。死に体同然な状況なのに、EUの指導者たちは、その勃興と成功について、同じようなくだらない話を繰り返し言い放っている。

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