【日韓問題:オピニオン】日韓紛争において、トランプ氏の介入を期待してはならない

韓国の徴用工訴訟問題で、益々日韓関係が複雑になっています。

この記事では、 釜山国立大学政治科学外交学科の国際関係の教授 ロバート・E・ケリー氏の論文を紹介します。
当サイトは、好き嫌いにとらわれず、一つのイデオロギーに凝り固まることなく、世界ではどういった意見や見方があるのか、という視点で記事や論文を紹介しようと心がけています。
違った角度からの見方によって、より良い考え方や新しい視点を発見できるのではないかという期待もあります。

その上で、中々解決できない日韓問題について、韓国の大学で教鞭をとられている米国人の国際関係の専門家がどういった意見を持っているのかという視点で読んでいただけたらと思います。

この論文は、 国際政策についての議論を伝え深めることに向けることを目的とする、 シドニーに拠点を置く独立系の非党派的シンクタンク Lowy InstituteによるThe Interpreterに掲載された記事です。

ぜひ、ご一読ください。

Post by Mariko Kabashima 2019/04/04 11:47Jst

The Interpreter  by Robert E. Kelly 2019/04/01】

米国は、憂鬱な定番の日韓紛争での非公式の仲裁人であった。―しかし今回はそうではない。

日韓関係が再び悪化している。憂鬱なほど定番のイベントだ。数年ごとに、この近隣両国は、いつも歴史解釈をめぐる論争に駆り立てられて、深刻な紛争に巻き込まれている。1910年から1945年までの日本の朝鮮における植民地主義の記録、または、テリトリーにおいて。すなわち、独島を韓国に、竹島を日本に、リアンクール岩礁を我々にと。

これもまた、度々急激に厄介なものとなる。


この話題に対する論評は膨大である(こちらを参照)

特に欧米のアナリストは、三大独裁政権(北朝鮮、中国、ロシア)に対しては、好戦的であるにもかかわらず、この問題に韓国が多大な努力を払っていることに困惑する傾向がある。国際関係論、特に脅威均衡現実論と民主平和論は、両国がもっと協力しなければならないことを示唆している。しかし、韓国人は全く興味を持っていない。すなわち反日主義はコアなナショナリストの話である。日本側も同種の対抗手段で応酬を増している。

これらの詳細をすべて再検討する必要はない。(私自身の考えはこちら)
今回の戦いは、戦時中の日本での韓国人強制労働(これはこの問題に対する韓国国民の態度をかなりよく捉えた映画である)に対する戦時補償をめぐるものだ。韓国側は、これらの賠償金を支払うよう、韓国にある日本企業の資産まで没収すると脅している。

この韓国側の主張の道義性には議論の余地があるが、日本はこれを受け入れないというだけで十分である。韓国製品に関税を課し、市場へのアクセス制限の対応をすると脅しており、再ブランド化された「TPP包括的・漸進的協定」への韓国のその後の加盟を阻止すると脅かす可能性が高い。

しかし、私が今回懸念しているのは、日韓間、特に米政府と韓国の保守派の間で起きているこの種の悪循環に歯止めをかける手段がないことである。


トランプは介入するつもりはない

これらの紛争の基本的にブレーキをかけるのは伝統的にアメリカである。実際、米国はしばしばこの論争の非公式の仲裁人であり、特に韓国側にとってはそうである。

韓国人と韓国系米国人は、米国内に慰安婦像を設置することで、日本に原因があるという米国の判定を「勝ちとろう」と力を合わせてきた。米国の教科書や地図で日本海の呼称を東海に変更するよう働きかけ、米側との二国間協議で直接問題を提起した。ここ何年かの間に、多くの韓国人が、米国はこれらの問題について日本にもっと強く働きかけるべきだと私に言ってきた。

日本は当初、これを無視しようとしたが、韓国の努力は十分に成功しており、日本は今ではこうした変化に日常的に抗議している。

米国政府の立場は公式的には中立だが、それはますます難しくなっている。米国は繰り返し介入を強いられている。オバマ前大統領は3年前、両国の亀裂を埋めるため、韓国の朴槿恵大統領や日本の安倍晋三首相と明示的に会談した。ナンシー・ペロシ米下院議長は今年、日本との衝突を回避するようワシントンを訪問した韓国の文在寅大統領に要求した。

しかし、ドナルド・トランプ氏が大統領に就任した今、同氏が同じことをする意思があるかどうかは不明である。トランプ氏は、米国の同盟国を軽視することで知られている。同氏の日本への主な関心は、関税、自動車輸入、そしてノーベル賞候補に挙げられることである。そして、韓国に対する主な関心は、米国の安全保障に対する支払いの増額を要求することである。彼は、北朝鮮の核問題で、これまで北朝鮮との交渉に失敗してきた。トランプ氏はまた人種差別主義者でもある。米国のアジア同盟国同士が引き裂かれても、それほど気にしないだろう。


Photo By: U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alex Echols III


韓国の保守勢力は政権を握っていない

もう一つの伝統的な悪化要因は、韓国政府内に保守派と安全保障タカ派が存在することである。韓国の右派は長年、米国と日本に対して基本的なタカ派の同盟志向を共有しており、北朝鮮、過去のソ連、そして今日の中国と対立している。

伝統的な左右政治のパターンが奇妙に逆転しているが、韓国の右派が「国際主義者」ブロックであり、韓国の左派がナショナリスト・ブロックである。例えば、韓国の左派は、南北間の共通の「コリアネス(韓国人であること)」を強調し、過去数十年間にわたって北朝鮮にさまざまな突破口を求めてきた。

逆に、韓国が他の自由主義国、民主主義国、反共主義国、特に米国と日本と国際的なイデオロギー上の整合性を強調してきたのは、韓国の右派である。

また、韓国の保守派の多くは韓国の建国の父の血を引いており、その多くは日本帝国との協力者であった。これは韓国のナショナリスト的論点の問題である。

背景となる問題が何であれ、重要なのは、韓国の右派がしばしば日本との基本的な実務関係を維持しようとし、対立する、高度に政治化された歴史問題に対する露骨な違反を避けようとしてきたことである。朴元大統領は数年前、慰安婦問題を解決しようとした。

韓国政府はこのような働きかけを拒否し、日本が謝罪を続ける必要があることを強調する。朴大統領は慰安婦問題を放棄し、日本企業の財産没収をめぐる法的闘争を回避しようとしていない。韓国の右翼は傍観している

コラムニストのトーマス・フリードマン氏は長年、米国との関係は中東の中道派が米国と手を結ぶことを主張することで彼らの過激主義者を打ち負かすことを可能にすると主張してきた。韓国と日本も同じだと思う。NGOや「市民団体」のような双方の過激主義者が、危機への関係を推進することもあったが、米国の圧力は、しばしば舞台裏で、決定的な歯止めとして作用した。過激主義者に直接異議を唱える勇気のない中央集権派のエリートたちは、彼らの抑制をアメリカ人のせいにすることができた。

強制労働の補償問題が現在の(景気の)下降傾向を促進している韓国にとって特に重要であるが、これはもはや機能していない。韓国でこのような動きが本格化すれば、文氏政権はこれを止めることができないかもしれない。実際に、文政権は介入したくないかもしれないし、トランプ氏は介入する気がないようだ。本物の崖に向かって走っているかもしれない。

日本の同僚や友人たちは以前から、韓国人は本当に日本との間に背反を望んでいるのか、真に競争的な関係なのか、それとも冷戦的な関係なのかと私に尋ねてきた。私はいつもそうではないと思ってきたし、今でも韓国人の大多数がより良い関係を望んでいると信じているが、公の場でこの問題に強いナショナリスト的な感情を前提としたものだと言うことを恐れている。

我々は、韓国がどこまで行くつもりなのかが分かるかもしれない。韓国の大統領は日本の歴史問題に公然と積極的である。すなわち、新たな歴史的問題-強制労働-がちょうど発生し、日本との関係における標準的なナショナリスト的枠組みに急速に移行しつつある。そして、日本の首相は韓国問題で疲れきった保守派である。

トランプ政権はこの問題おいてチェックアウトしている。ワオ。

外務省


執筆者 : ロバート・E・ケリー 釜山国立大学政治科学外交部 教授 

www.AsianSecurityBlog.wordpress.com


※ こちらの記事は、 Lowy Institute のご協力により翻訳記事を発信しています。
Special Thanks to Dr. Rober・E・Kelly , Mr. Daniel Flitton and Mr. Sam Roggeveen


(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

※ 無断転載厳禁

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