【英国レポート第一弾:EU離脱】迷走する英政治。現状打開の切り札は祈祷会。29日の修正案採決を前に超教派のクリスチャン約9千人がウィンブリーに集結

EU離脱に揺れる英国。その様子を現地から、当サイトの英国在住メンバーがレポートします。
その第一弾は、日本にはおそらく全く報じられていない内容です。英国のあらゆる宗派のクリスチャンが集まり、官僚も参加する程、大きな祈祷会が行われました。これは歴史的に、英国が一丸となる手段でもあるそうです。
私は、英国の人々がこんなにも愛国心をあらわにした姿は見たことがありません。 日本人には分かりづらいところもあるかもしれませんが、これも英国の真の姿です。
おそらく多くの日本人があまり関わることがない英国の生の部分ではないでしょうか。ある意味とても感動しました。ぜひご覧ください。(編集長・樺島) 

 

Post by   Eshet Chayil ーONTiB Contributor  2019/01/30 21:13

 

欧州連合(EU)離脱を巡り、迷走を続ける英政界。国を分断する危機的な現状を打開して、国としての将来のビジョンを取り戻すには、祈祷会しかない―。欧州連合(EU)からの離脱協定の修正案採決を週明けに控えた26日、超教派(全宗派)のクリスチャン約9千人が、ロンドン北西部のサッカー聖地ウェンブリーに集結。多目的ホール「アリーナ」(最大収容人数1万2500人)をほぼ埋めた。

 

メイ首相がEU側と合意した原案は今月15日に敢え無く大差で否決されたため、29日には細かい修正を施した代替案が採決された。8票という僅差ながら、可決されことでは、国内外の経済界が懸念を深めていた「合意なき離脱」を回避した格好。しかし、EU側は合意済み協定案を修正する意思がないことを表明しており、予断は許されない。

 

 こうした状況の打開を目指して26日に、「デイ・オブ・プレイヤー・フォー・ブリテン(英国のための祈りの日)」と題した祈祷会を主催したのは、キリスト教福音派の伝道師デビッド・ハザウェイ氏が率いるユーロビジョンという宣教団体。ハザウェイ氏は鉄のカーテンに閉ざされていた旧ソビエト東欧圏に聖書を密輸し、チェコスロバキア(当時)で投獄された経験を持つ百戦錬磨の宣教師だ。

 

 「私(神)の名を呼び求めている私の民が自らへりくだり、祈りを捧げ、私の顔を慕い求め、その『悪い道』から立ち返るなら、私が親しく天から聞いて、彼らの罪を赦し、彼らの地をいやそう」

 

祈祷会ではまず、神による地域や国の癒しの約束を記した第2歴代誌7章14節を朗詠され、英国という国がユダヤ教・キリスト教の神を頂点に掲げ、神が任命した者を王座に頂く連合王国としての立憲君主制であるとの認識を改めた。

 

その上で、人工妊娠中絶を女性の権利の一つとみなしたり、同性愛者の権利擁護や拡大を図る法改正の政治潮流は、神の御心ではない「悪しき道」と再確認、今や生きる権利を考える上で最も危険な場所は母親の胎内という事実を真摯に受け止め、嘆き、悔い改めることで、神による赦しと癒しを求めた。

 

 受胎時からの生命権を訴える非営利の慈善団体クリスチャン・コンサーンによると、1967年に人工妊娠中絶法が導入されて以来、英国だけでも7百万人を超える生命が人工的に絶たれている。胎児の病気を理由にした胎児条項が追加されており、出産直前ギリギリに到るまでの中絶の合法化を求める声も一部で強まっている。

 

 新鮮だったのは、「兄弟たちが一致団結するときに神は祝福を命じられる」(詩篇133章)との認識から、英国が歴史上で犯してきた奴隷制度や、その後の差別政策、今も根強く残る偏見や富や機会の再配分が醜く偏る格差社会の「罪」を認める呼びかけがあり、悔い改めが行われたこと。

 

祈祷会に参加したアフリカ系キリスト教会の指導者らは、長年に渡り、白人系教会から「疎外感を受けていた」と吐露。許しを求め、許すいうことで和解を図った。その上で「神の御心にかなった社会の創出」に向け、一致団結を図ること、個人の権利のみを肥大化させ追求する世俗的な道ではなく、社会の公益を求める「神の道」に立ち返り、ナイフ銃犯罪や麻薬問題の撲滅・聖絶する気概を宣言した。アフリカ系教会ならではの熱い賛美と祈りが捧げられた。

 

 EU離脱を英国民が選択した背景については、あくまでも、経済金融政策や移民政策など国としての主権回復が狙いと報じられることが殆ど。

 

しかし、一般のメディアでは報道されないこんな事実もある。少数党内閣となったメイ政権の運営にとって欠かせない北アイルランドの保守派地域政党、民主統一党(DUP)の10人の議員は全て聖霊に満たされ新しく生まれた「ボーン・アゲイン」(ヨハネ3章3節)のクリスチャン。EU離脱を神意と受け取り、「主の御心がなるように」との祈りが捧げられているという。

 

 朝10時から夕方6時過ぎまで終日かけた祈祷会の中盤では、英外務省勤務の現役官僚ら3人が登壇。聖句が礎に刻まれた議事堂内で月1回の祈祷会を行なっているほか、重要な採決があるときには英議事堂内で必ず祈りが捧げられていると明かした。英議会や政府運営、欧州連合議会の三つ巴にあっても、人為的な意向ではなく、「主の御心」の達成を願い祈っているのだそう。

 

 キリスト教国であったイギリスには、国民が一丸となって捧げた祈りが国の命運を変えたとの歴史認識が実は既にある。第二次世界大戦初頭の1940年に行われたイギリス本土に対するドイツ軍の激しい航空作戦で、本土爆撃を許すほどに消耗していたときのこと。10代前半だったエリザベス王女(当時)が呼びかけた国を挙げての祈祷会が、ドイツ軍の航空作戦変更につながり、英国は占領を免れたとされる。史上最大と言われる仏ノルマンディーの上陸・撤退作戦は「ダンケルクの奇跡」として語り継がれている。

 

 EUはどうか。「ザ・レイプ・オブ・ヨーロッパ(EUによる強姦)」というハザウェイ氏製作のドキュメンタリー映像は、仏アルザス地方ストラスブールにある欧州議会の建物が、創世記11章に登場する「バベルの塔」を模倣した未完成のデザインであること、その建物前に置かれた獣に乗る少女の像はまさに、ヨハネの黙示録17章3節に登場する緋色の野獣にまたがる大淫婦を意図していると指摘する。

 

さらに、欧州議会議員らが、バベルの塔で叶わなかった人類の夢を自らの手で達成させる野望を隠してすらいない点などを指し示している。関税同盟による単一市場の創出や、単一通貨、防衛統合といったEU域内の統合深化は、主権国家を弱体化させ、統一政府を創出する帝国主義=神の敵という図解だ。

 

EUは、ダニエル書2章が記す巨大な像の足の片方と目されるローマ帝国の末裔。同7章の預言として「終わりの日」に登場する第四の野獣(=世界帝国)にあたいし得る。キリストの再臨では砕かれる運命の反キリスト勢力との聖書解釈であるから、速やかなEU離脱は神による勅令という見方なのある。 

 

離脱案で最大の障害とされるのは、英連邦の構成地域である北アイルランドと、独立したアイルランド共和国との国境や関税問題。これに関しては、アフリカ系教会との間の和解と同様、植民地支配時代の反省をして、悔い改めることで、和解を目指し、アイルランドが再び英連邦に併合されれば解決できるという祈り方がされていた。

 

 米国もそうだが、英国は、ユダヤ教の経典タナハ(キリスト教の旧約聖書)とキリスト教の新約聖書に基づいた世界観や倫理観が、国家基盤の形成や政治運営の礎となってきた。国会議事堂の建物や憲法に深く刻まれた、国の生い立ち当初の価値観への回帰の動きは、それに相反する超左傾化勢力が急拡大したことの裏返しでもある。

 

混迷を極めるかに映る英国のEU離脱の背景にある、聖書的世界観や価値観、預言の座標軸ーー。日本では馴染みが薄く、特にアイルランドの国境問題の解決策は突拍子もなく不可能と響いたが、信仰者は「神に不可能なことはない」と言う。先行き不透明な今後の情勢を見守る上では、意外と重要なポイントなるかもしれない。

 

(海外ニュース翻訳情報局 寄稿: えせとかいる)

 

 

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