【米国:衝撃】性別に関する従来の見方を違法とする法案をカリフォルニア州が検討中

カリフォルニアがおかしいです。元来、リベラルなことで有名な州で、トランプ大統領誕生の際にはアメリカ合衆国から独立しようといった動きまで一部で起こったほどでしたが、今年2月に提出された議会法案2943を読むと、どうも行き過ぎた自由主義、ポリティカル・コレクトネスを反映しているようで、本来そういった主張を持った陣営が守ろうとしていたはずの、例えばLGBTの人たちの権利をも脅かしかねない、おかしな規制ばかりがはびこる州になっていくように見えてしまいます。

この記事は、デイリーシグナル誌に掲載されたものを翻訳紹介します。

Post 2018/05/05   15:28

The Daily Signal By Monica Burke   2018/04/23】

LGBTの人たちを保護するとされるカリフォルニア州の新しい法案は、実際のところ、彼らの選択肢を狭め、発言を検閲し、信仰の自由を侵害する。

議会法案2943は、禁止される行為のリストに、いわゆる“性的指向変更活動”と呼ばれる試みを加えることによって、カリフォルニア消費者法的救済法(不公平な、もしくは欺瞞的な行為を禁止する消費者法)を修正することとなる。その修正案は事実上、個人の性的指向を変更しようと試みるすべての行為を州が禁止することになり、それは一部の書物の出版といった間接的な行為をも含む。

この拡大法は、著者、演説者、カウンセラー、大学、さらには不必要な同性への興味や性同一障害について述べようとする宗教指導者までも巻き込む、広範囲な検閲を課すことになる。

この法案は性的変更活動を“個人の性的指向を変更させようとする行為で、それは行動や性的表現を変えさせ、同性の個人に対する性的な魅力や感情を取り除く、もしくは減退させるような活動”と定義する。

魅力のみならず行動をも含むこの広範囲な用語は、徹底的な意味を持っている。現在提案されているこの法案は、合憲的に保護された数多くの人びとの言論を侵害する可能性がある。

もしこの法案が法律になれば、貞節を説き、宗教の教えに従って性的行為は一対一の男女間の婚姻に基づいてのみ行われるべきとする宗教指導者の説法を罰することもあり得る。

それはまた、正当な個人的理由に基づき、同性への興味について忠告されることを望まない患者に対する宗教的なカウンセリング施設を罰することも可能だ。たとえば、性行為については宗教の教えに従いたいと思う者や、自らの配偶者や子に誠実であろうとする者たちを。

伝統的な結婚の価値観や人間の性的関心についてカリフォルニア州で主張したヘリテージ財団のライアン・T・アンダーソンのような演説者たちも、罰されることになるかもしれない。

アンダーソンの新著『When Harry Became Sally: Responding to the Transgender Moment(ハリーがサリーになった時:トランスジェンダーの時代に答える)』のような性同一性イデオロギーに反対するような最近の出版物を扱う、アマゾン等のオンラインを含む書店も罰される可能性がある。

性行為に関して、聖書の教えに基づいた生き方に忠実であれとする行動綱領を学生に求める宗教大学も、また同様だ。

この法律は、支払いが行われた際に効力を発揮する。カウンセリング料金の支払い、参加料、本の代金、もしくは牧師の講話に対する謝礼といったものだ。性的指向や性同一性に関する声明、教え、あるいは行為に傷つけられたと感じた者は誰でも、それらを提供した聖職者、カウンセラー、著者、店舗、教育機関などに対して裁判を起こすことができる。

裁判はそのような人々や機関を困惑させることだろう。

まず、当該案件について被告人に議会法令2943が適用されるか否かが、裁判官の判断に任される。カリフォルニア消費者法的救済法はそれを“寛大に解釈され、適用される”ように命じている。この基準においては、個人も機関も、単に人間の性的指向についての千年来の見方を述べたことへの莫大な罰金に対しては無力だ。

たとえ判事が取るに足らない訴えから被告人の罪を免れさせようとしても、議会法令2943には萎縮効果があり、個人や機関は費用の掛かる裁判沙汰に何度も巻き込まれるのを避けようと、自らの発言を検閲するようになる。

これはまた、宗教の自由な活動にも重荷を負わせることになる。もし個人や組織が同性への興味や性同一性に対して信仰に基づいた説教ができないのであれば、彼らは自分たちの宗教を自由に遵守することができなくなる。

結局、議会法令2943は、貞節について助言するという信仰に基づいた活動を、詐欺的で欺瞞的なものとして扱っているが、それは「宗教的な組織と個人は、充実し、生活と信仰の中心となる原則を教えようとするが故に、正当な保護を受ける」としたアンソニー・ケネディ裁判官のオーバーグフェル対ホッジス裁判(*)における説諭に真っ向から反対するものだ。(*訳注:アメリカのある州で正式に結婚の認定を受けた同性のカップルには、他の全州でも正式に結婚の資格を認定することを義務付けた2015年の裁判)

自由な活動に対するそのような攻撃は、すべての人を傷つけることになる。自由権が道連れになるので、政府がひとつの文脈においてある見方を黙らせようとする先例を作るのであれば、その他の領域においても検閲がかかるということを十分に理解しておく必要がある。

議会法令2943の広範な性質はまた、ある性向について振る舞うことを避けようと努力するための手助けが必要なLGBTの人について、考慮ができない。そのような人たちは、議会法令2943のもとでは、専門的・個人的な援助を受けることができなくなる。

その政策はまた、性転換後の性を翻し、生誕時の性に戻りたいと思うトランスジェンダーの人たちにも影響する。議会法令2943の分類上、そういった人たちが要求する支援や援助は拒否される。

議会法令2943はカリフォルニア州の自由権に差し迫った脅威を突き付ける。それはLGBTの人たちをほとんど守ることはせず、彼らがアクセスできる将来の見通し(と、援助)の数を制限するだけで、その一方では、危険なオーウェル風の政府主導の検閲の先例を作り出す。

この法案が署名され、法律として成立する前に、議員たちは一刻も早く行動に移すべきだ。

(海外ニュース翻訳情報局 加茂史康)

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