【米国:論文】オバマケア補助制度が何故アメリカを破壊するのか

日本の国民皆保険に慣れ親しんだ身には実感としてわかりづらい問題ですが、アメリカの医療保険制度の行く末が注目されています。いわゆる「オバマケア」廃止を主要政策のひとつとして当選を果たしたトランプ大統領ですが、それに取って代わる制度をいまだに実現することはできていません。国民それぞれの立場によって、大きな利点も大きな欠点もあるオバマケアを、こちらは否定的な観点から見た論文です。ナショナル・インタレスト誌からの記事をどうぞ。

Post 2018/03/20

National Interest  by Ed Haislmaier、  Robert E. Moffit   2018/03/17  

補助制度は単にオバマケアの費用問題を覆い隠すだけである

今月、国民健康保険制度が転機を迎える。大手の生命保険会社はオバマケアを「安定化」させるために、補助金を求めて議会に圧力をかけ続けてきた ―― 納税者により大きな負担をかける形で。

議会は決断を迫られている。これからさらに数十億ドルの税金を投入して人為的な延命治療のためにオバマケアを継続するか、もしくは、機能不全に陥ったオバマケアの個人向け生命保険市場を置き換えるという厳しい任務に取り組むか、だ。新たな税金投入に頼らずに、中産階級の手の届く填補を実現する別の方法で。

間違いなく、オバマケアは当初から、その仕組みのおかげで、今の形に帰するようになっていたことは必然だった。つまり、助成金に大きく依存した、低所得者層のためのリスクの大きな共同資金という形だ。填補への補助金は、高い治療費を必要とする人たちにとっては魅力的であるが、一方で、そうでない人たち、特にヤングアダルト世代には不評だ。重要な問題のひとつは、今年、全国の半数以上の郡(そのうち10州においてはすべての郡)が、填補のエクスチェンジ(訳注:健康保険のプランを比較・申し込みをするマーケットプレイス)を扱う保険会社が一つしかなく、また、ほぼ3/4のエクスチェンジのプランには、限定的な医療機関のネットワークしかないということだ。

4年間の大変な経験の後では、たとえ新規の税投入が定期的に行われたとしても、オバマケアのもとでの個人向け生命保険市場が見違えるほど良くなるという考えを真に受ける人がいるとは考え難い。それを実現するためには、競合する複数の生命保険会社が、手頃な保険商品と、病院と医者の優れたネットワークをふんだんに提供できるような真のマーケットが必要とされるだろう。そしてそれこそが、数百万人の中産階級を魅了するために必要なものだ。

現状の仕組みではそれは起こり得ない。にもかかわらず、議会共和党は、数百億ドルの追加税投入が保険料を「削減」し、市場を「安定化」させるという考えから、大手保険会社に対してさらなる追加資金の投入を目論んでいるようだ。しかし、補助制度は単にオバマケアの真の費用問題 ―― 法の網の融通の利かない規制や、煩わしい規則、そして複雑な補助金の仕組み ―― を覆い隠すだけだ。

保険会社は連邦政府からより多額の補助を得ようとし、自営業者や小規模な事業主であるその顧客たちはオバマケアに替わるより安価な仕組みを求めている。彼らの多くが必要としてもおらず、欲しくもない高額のプランに補助を出さないような仕組みを。

トランプ政権は、協会向け医療制度、短期医療保険制度、雇用主保険料弁済協定といった選択肢を拡大する最近の提案で、そういった市場からの要求に応えようとしている。議会共和党は政権の方針に従って、オバマケアの代替案を作成し、拡大することに集中すべきだ。

特筆すべきは、残るすべての個人保険医療を政府が引き継ぐこと ―― いわゆる「単一支払者制度」、または政府による独占 ―― を大多数の下院民主党が公式に受け入れることによって、議会民主党はすでにオバマケアの先へと進んでいることだ。

議会共和党もオバマケアの先へと進まなければならない。もちろん、逆の方向へ。オバマケアの填補に固執したくない国民に代替案を与えるべきだ。

保守政策専門家たちは、合衆国上院の幹部連が昨秋提出した案に基づいた、実行可能な長期的解決案を固めた。

議会共和党は保険会社により多額のオバマケア補助金を与えるのではなく、彼らの選挙民たちによりよいオバマケア離脱案を与えることに注力すべきだ。

執筆者について

エド・ハイスルマイエル(Ed Haislmaier)
ヘリテージ財団保健政策研究センターの上級研究員。医療政策の専門家であり、議員が保健システムの改革を設計し、草案するのを手助けするよう求められている。

 


ロバート・E・モフィット Robert E. Moffit, Ph.D. 
ヘリテージ財団の保険保健政策研究センターの上級研究員

(海外ニュース翻訳情報局  加茂 史康)

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