【米国・オピニオン】バノンはダウン、株式市場の上昇はアメリカのポピュリズムの再現

暴露本が発表されてから、スティーブ・バノンに対する評価は下落し、政治的に終わったという意見が多くみられます。同時にアメリカの株式市場が上昇しました。日本の人にとって、一見関係のない事のように見えるこの2つの出来事は、深く関係しているというオピニオンです。
この記事は、バノン氏と非常に深い関係を持ち、CBNCの上級コントリビュータであり、レーガン大統領の前経済顧問であったローレンス・カドロウ氏によって執筆されました。バノン氏へのただの批判と分析ではなく、同氏の深い友情を感じるのは私だけでしょうか。本記事は、リアル・クリア・ポリティクスから紹介します。

Post 2018/01/07  21:36 update 01/08  0:35

Real Clear Politics by Lawrence Kudlow   2018/01/06】

新年の最初の週には、2つの大きなお金と政治の話があった。
ダウ・ジョーンズは577ポイント急上昇し、スティーブ・バノンは彼の政治的キャリアを終了させた。これらの2つの出来事は関係しているのだろうか?恐らく、あなたが考えるより多くの事が関係しているかもしれない。

ポピュリズムのバノン氏の独特な概念は本質的に反成長である。彼はより高い税金、超保護主義、そして安いドルが中産階級を助けると信じていた。供給側重視経済支持者は、これらの政策が中・下位層が最も苦しみ、経済にのみダメージを与えるということを知っている。

バノン氏は数か月前にホワイトハウスから追い出されたが、依然として大統領がバノンの話を聞いていたのは明らかだった。それで彼の影響が、投資家やビジネスを懸念させていた。今週、バノン氏は政治的に終わり、株式市場が急騰した。一部の人はBannon-goes-away(バノン退場)反発と呼んでいる。

これは単純化しすぎである。株式をより高値にさせたのには多くのポジティブな要因がある。トランプの減税や株式の母乳と言われるビジネス利益の期待される上昇を含んでいることだ。しかし、バノン氏は決してトランプ減税計画の強力な提唱者ではなかった。代わりに、彼は40%から44%に、成功した稼ぎ手の所得税を上げたかったのだ。

スティーブ・ムーア、アート・ラッファーと私は、バノン氏と沢山話し、そして、彼を説得して思いとどまらせようとした。トランプ大統領は、我々が議論したように、より速い経済成長を生み出す政策を用いて、オバマ大統領との戦いを成功のうちに終わらせると主張した。

高所得者を罰することは、投資や雇用創出にどのように役立つのだろうか?いわゆる金持ちを傷つけることが、中産階級をどのように助けるのだろうか?しかも、それらは民主党の議論であり、失敗した議論である。

上げ潮がすべてのボートを持ち上げる。J・F・ケネディ、ジャック・ケンプ、ロナルド・レーガンはそれを信じていた。ドナルド・トランプもそうである。

あなたは、2%の成長率と4%の成長率 どちらがいいですか?答えは4%である。トップエンドでの所得税率の引き上げは、 オバマ大統領が行い、そしてバノン氏が望んでいたことである。あなたの成長率は、2%に戻ってしまう。

バノン氏は、成長のインセンティブモデルを本当に理解したことはない。起業家に報酬を与えることは、繁栄の鍵である。この意味で、誰もが皆同じ船に乗っている。バノン氏は法人税減額措置についても控えめだった。彼は、大小の事業税を大幅に削減することが主に賃金労働者に利益をもたらすという議論に決して耳を傾けなかった。しかし、上位、中位、下位層すべてにとってメリットがある。

それはパイ(全体)を大きくすると言われるものだ。

ある午後遅く、スティーブ・バノンは、スティーブ・ムーアと私との取引をしようとした。我々は彼の事務所にいた。「きみ達が、最高額の44%の税率にして戻してくれるならば、私は君たちの15%の法人税率を支援します」

我々はその取引には乗らない。それは経済成長の意味を持たなかった。

バノン氏が我々によく会うという事実は、彼のことをよく褒めることになる。彼は常に、議論の中でも、いつでも親しみやすく、フレンドリーで、ユーモアがあった。

私は彼との友情を楽しんだ。彼は我々のコネチカットの家で歓迎されている。彼の政策に対する私の批判は個人的なものではない。

マイケル・ウォルフ氏の「Fire and Fury(火と怒り)」という本での大統領とその家族に対する背信行為は、重大な過ちだった。その結果、彼の政治的キャリアは不調に終わった。

バノン氏がダウンして、市場が上昇した。そのことには、関係がある。

バノン氏は、民間による開発促進への高い税率での救済に反対するだけではない。彼は激しい超保護主義者である。彼は新たな貿易取引や関税引き上げを望んでいない。

彼は、中国人が通貨操作の罪を犯していると主張し、重い刑罰を科さなければならないと主張する。中国人民元は、近年大幅に価値が上がってきた。したがって、バノン氏は暗黙のうちに、より安いドルに賛成していた。

まあ、繁栄して通貨を切り下げた国はない。

あなたは関税によって最も傷つくのは、誰だかわかっていますか?

中産階級は、日々の生活のためにはるかに高い金額を支払う。輸入は関税や割当量に縛られているため、あらゆる種類の企業も苦しんでいる。

バノン氏は、輸入価格を引き上げた国境調整税も支持した。高い関税と崩壊したドルの支持は彼の最悪の経済的ミスだった。

だからバノン氏は政治的自殺行為を犯し、株式市場は歓声を上げた。それは、不自然なことではない。

ポピュリズムには多くの定義がある。私は、アメリカのポピュリズムは、一般市民が政府ではなく、権限を与えられるべきだという信念を持っている。私はスティーブ・バノンとこの点で同意することができる。クローニー・キャピタリズム*とロビイストの利益になる莫大な資金を批判する時は特に同意する。

クローニー・キャピタリズム*・・縁故関係者や仲間どうしで国家レベルの経済運営を行い、権益を独占して富を増やしていく経済体制。

バノン氏が、自由市場の資本主義モデルを受け入れたかどうかはよくわからないが。

この20年間、賃金労働者は苦しみ、その答えは高い関税と税金ではない。答えは、課税、規制、無制限の政府の負担を取り除き、長期にわたる繁栄を取り戻すことによって、アメリカを再び偉大にすることである。

繁栄はアメリカのポピュリズムである。それがトランプ大統領のやり方である。

私はスティーブ・バノンが自分の転落をじっくりと考え、これらの繁栄の教訓を再検討することを願っている。人生では、扉は閉じ、扉は開く。我々は間違いから学び、より良い時代に進むことができる。

バノン氏のような賢い男は、我々を傷つけるのではなく、我々を助けるために働くべきである。

執筆者
ローレンス・カドロウ ( Lawrence Kudlow)
CNBCの上級コントリビュータ。土曜日に午前10時から午後1時まで放送され、全国的に配信されているThe Larry Kudlow Showの主催者である。レーガン前経済顧問であり企業連合体が雇用しているコラムニストである。

(海外ニュース翻訳情報局 MK)

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