【ドイツ・難民問題】ドイツ副首相、難民を受け入れる地域社会に財政支出すべきと発言

ドイツの難民問題は、国内外で様々な議論を呼んでいます。ドイツ社会民主党党首であり、副首相でもあるジグマール・ガブリエル氏は、難民を受け入れる地域社会には、政府が然るべき財政支出を行うべきと主張しています。難民受け入れ大国の動きに今後も注目したいと思います。本記事は、ロシア・トゥデイからの紹介です。
Post 2017/12/25 10:10

RT 2017/12/23】

難民を受け入れるにあたり、社会的緊張を減らすため地元の地域社会には適切に支出すべきであると、ジグマール・ガブリエル副首相は述べ、19世紀の米国のように、ドイツが「希望の地」になりつつあると付け加えた。

難民を受け入れる地方自治体は、特に政府資金を通じ、受け入れのためのインセンティブを受け取るべきであると、ガブリエル氏がドイツのメディアに伝えたことに、(ドイツ)ディー・ツァイト紙が言及している。彼は、地元の地域社会は「難民を何人受け入れるかを自分たちで決めるべきである」と付け加えた。

特にこの計画は、地域社会が統合のために使う支出に加えて、住民向けに同額を補償する構想である。

ガブリエル氏は、支出を行うことで、難民危機以降2年間に渡り批判を浴びてきた、ドイツ政府の移民政策への賛同を後押しするのに一役買うのではと主張した。「このようにすることで、働きかけてもらえるのは難民だけで、自分たちには何もしてもらえないという印象を市民に与えないようにすることもできます」と彼は語った。

地元当局は、難民を統合すべきか、「プールを改装すべきか*」という難しい選択を迫られるべきではないと、影響力のあるドイツ社会民主党員でもある彼は語った。彼は、この実践は国境を超え、欧州全土で一般的になるべきであるとも考えている。「人口が貧弱な州内の地元 地域社会に、資金提供を行い支援するプログラムをEUが立ち上げることも可能でしょう。」と、彼は述べた。

*訳注:ドイツの公営プールで、性的嫌がらせを受けたとの苦情が女性客や女性従業員から上がり、難民保護申請者の男性の利用を一時禁止した。しかし、難民支援団体等から批判を受けて禁止措置は後日撤回され、代わりに注意書きを掲示するなどして周知徹底を図るようにした出来事からの比喩的表現と思われる。ルールを難民の現状に合わせる形で対応することを指している。
(参考)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H7G_W6A110C1000000/
http://www.breitbart.com/london/2016/01/19/german-swimming-pool-lifts-migrant-bather-ban-after-leftist-pressure-just-24-hours-after-four-children-molested-in-pools/

やって来る(移民の)数に上限を設けることや、より厳重な国境警備を導入することに消極的であった政府の下で、ガブリエル氏はドイツ政府の『門戸開放政策』を積極的に支持していた側である。しかし、今回は移民の未来に関し、より慎重な語り口である。

多くの者にとって、ドイツは「米国が19世紀にそうであったように、希望の地なのです」と彼は語ったが、連邦共和国が「すべての望みをかなえることはできません。」ドイツが何人の移民を引き受けることができるかは、やはり限界があると彼は語った。100万人の難民に対し、追加で2万5千人の教師や、何千もの新しい家が必要となる。

「移民(受け入れ)がよいことだと言うだけでは不十分です」と、ガブリエル氏は語った。彼は、「亡命希望者としてではなく、本国での暮らしが苦しいためにやって来る者たちを統合する力がどれほどあるか、理性と品位ある議論」を求めた。

今年初めに、ドイツでは移民を対象とした多くの動きがあった。12月に政府は、『あなたの国、あなたの未来に今こそ!』と銘打った新しいプログラムを立ち上げた。これは自発的に帰国することにした者に大金の支払いを約束するものである。家族は最大3,000ユーロ(3,570ドル)、個人は最大1,000ユーロ(1,190ドル)が、『StarthilfePlus**』に加えて受け取る資格がある。しかし、この新たな提案は期間限定であり、2018年2月末までのみである。

**StarthilifePlus:自発的に帰国する、あるいは難民申請が不許可となった者などに対し、国籍や居住形態に応じた額の支援金が支払われるドイツの制度。

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺 つぐみ)

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