【米国・報告書】中国、ロシアは「シャープ・パワー」の展開で密かに民主主義国に浸透

この記事は驚きでした。冷戦時代が終わっても、今も尚続けられているというロシアと中国のプロガンダ作戦。私たちも物事の動きを注意深く見ていないといけないと改めて思いました。この記事は、ワシントン・フリービーコンから紹介します。
Post 2017/12/08  21:18

Washington Free Beaon by  Natalie Johnson 2017/12/07】

全米民主主義基金が新たに発表した報告書によると、中国とロシアは過去数十年間にわたり、国家を挙げたプロパガンダ作戦に何十億ドルも費やしてきた。それは商業的な事業に偽装して、世界中の民主主義国の中で、一般的な意見と政策をめぐる議論を何とかして形成しようとしているのだという。

北京とモスクワはこれを達成するために、ありとあらゆる手段を展開してきた。つまり、人材交流、文化活動、教育プログラム、そして世界を射程圏にしたメディア企業の育成だ。

このような手法は中国とロシアの外交政策の重要な要素となっており、とりわけ国外に「シャープ・パワー」を提示しようとする取り組みが重視されている。

政治思想の魅力を訴えたり肯定的なアピールをしたりすることや、軍事力による「ハード・パワー」を提示することを基本とする、冷戦時代の「ソフト・パワー」の戦略とは異なり、シャープ・パワーはある程度の隠密性を必要とし、攪乱と操作を中心軸にしている。

例えば中国は、過去数十年で、何百億ドルも投じて孔子学院のネットワークを拡張し、大学の内部に入り込んで中国語と中国文化を教えながら、共産主義的な観点を広めている。

同じ時期にクレムリンは、数十億ドルをかけた海外でのキャンペーンを立ち上げ、ロシア国営メディアを拡大し、ロシア関連の政策研究機関への支援を強化し、ネット上のコンテンツを操作する能力を築き上げることでイメージの向上を図った。

シャープ・パワーによって、全体主義政権は「カミソリのように社会の骨組みの中に食い込んで、既存の分裂を煽り拡大させること」ができるようになるのだ、と報告書は説明している。

報告書では、「独裁国と民主主義国の間で進行する新たな争いにおいて、抑圧的な政権のシャープ・パワーの手法はその短剣の刃先、またはその注射器のようなものと見なすべきだ」としている。

中国とロシアの成功のカギは、一方では国外の民主主義国が開放的であることを利用しながら、同時に自国の社会を外部の政治的、文化的影響から遮断することが可能であるということであった。ラテンアメリカや中央ヨーロッパにあるような、比較的歴史の浅い民主主義国は、民主的な価値観が十分に確立していないことを考えると、特に浸透には脆弱だ。

(海外ニュース翻訳情報局 竹林 浩)

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