【イタリア・衝撃】「難民ランド」:人口7人の町に、80人の亡命希望者が再定住予定

シリアやアフリカからの難民問題でEU全体が揺れる中、驚くべきニュースがありました。イタリアの人口わずか7人の町に、80人の移民者が来る予定になっているそうです。実現すれば人口の10倍以上の移民を迎えることになりますが、町の景色はどのように変わるのでしょうか。第一陣の26人はすでに到着しており、行政等が準備した施設に一時収容されているそうです。本記事は、パリを拠点とする海外ニュース紹介サイト、Worldcrunchからの紹介です。
Post 2017/12/04  7:00

World Crunch by Giacomo Tognini  2017/11/29】

政府による移民者の配置で、非常に小さな山村であるバッカロッツィ・ディ・エルベッツォ(Vaccarozzi di Erbezzo、以下バッカロッツィ)は、10倍以上に人口が増えるかもしれない。

バッカロッツィ—地元民らは、この小さなイタリアの町に「難民ランド(refugeeland)」というあだ名をつけた。(イタリア北部)ヴェローナを見下ろす高山に位置するバッカロッツィに住むのはたったの7人である。しかし今、そこは大きく変わろうとしている。80名もの亡命希望者が、イタリア他地域からの再定住でやって来るのだ。

この移動は、全国の町で1,000人につき3人の移民者を住まわせるという、マルコ・ミンニーティ内相による野心的な計画の一環である。バッカロッツィの首長であるルチオ・カンペデッリ氏は、政治的には穏健派である。しかし、彼はこの計画に断固として反対している。

「80人の難民がここに送られると、この地がひっくり返されてしまいます」とカンペデッリ氏は言う。「政府には、難民が来るだろうと夏前に伝えられただけであり、我々にはどうすることもできないのです。火に油を注ぎたくはないですが、政府が最初の26人の到着で止めてくれたらと思います。」

最初の26人の移民者は、イタリア南部のカラブリア沿岸に上陸して一週間後の11月初めに到着した。難民らは、ナイジェリア、ガーナ、ギニア、スーダン、そしてコートジボワールから来ている。全員が男性で、ぼろぼろのはしけ船で地中海を横断するという、困難な旅のトラウマから皆回復していない。

濃い霧が周囲の丘を覆い隠し、中に閉じ込められているような感覚を7人の住人らが抱き続ける寒い町では、この集団はあまり安らげないだろう。7人の市民のうち2人は90歳を超えており、家政婦が自宅で介助を行っている。「この方たちがみな神の息子であり、私たちを傷つけたり殺したりしないことを願います」と、ルーマニア人の家政婦であるイエレナ氏は語る。

現時点では、バッカロッツィの(26人の)亡命希望者らは元NATOの一時収容施設に留め置かれている。この施設は、ヴェローナの地元自治体が管理し、非営利組合であるヴェルソプロボ(Versoprobo)が借り受けている。この場所は、二重の門と小さな塔で守られており、多くが長い放浪のトラウマから回復できていない移民者にも、入退出が未だに禁じられている。

「現時点では、食べ物などの一次的欲求の世話ができる我々のセンターで、彼らには再適応してもらった方がよいです」と、ヴェルソプロボのメンバーであるアンドレア・モンタニーニ氏は言う。「間もなく、一定の規則の下でここを出ることができるようになるでしょう。それから我々は、町へ往復する交通手段を提供しようと考えています。しかし、夜はここに戻ってこなければなりません。」

ヴェルソプロボは、地元民らが再定住プログラムについて恐れる必要はないと主張する。「地元のコミュニティには、数回の打ち合わせを通じて、難民が来たからというだけで自分たちの生活様式を変える必要はないと安心してもらおうと努力しました」とモンタニーニ氏は語る。

牛に食べさせる干し草のかたまりをトラクターで動かしているブルーノは、そのような約束で安心したようには思えない。「彼らが一時収容施設にいる限りは心配しませんが、夜に彼らが外出すると考えると怖いです」と彼は言う。「でも、結局のところ80人に対して我々7人で何ができるというのでしょう。」

町の中央広場にいたくせ毛の女性は、もう少し楽観的だ。「他の国では、難民の管理で問題を抱えてはいません。ここも同じであると願いましょう」と彼女は語る。「彼らには中央にいてもらう方がいいですが、最悪の事態を想定したくはありません。」

地元のカフェでは、地元紙L’Arenaが、移民者の到着を発表した日の新聞が売り切れた。「ここに80人を送るのは正気の沙汰とは思えません。私たちの土地を完全に変えることになるでしょう」とバリスタのリアナ氏は語る。「控えめに言って、送るのが2人でも多すぎます。」

多くの地元民と同じくリアナ氏も、もっと人口密度が高い都市であるヴェローナからこのような離れた場所になぜ難民が送りこまれるのか疑問に思っている。「ここに難民を送るのは、NATOの一時収容施設が準備されているからだと言われましたが、ヴェローナでも準備していた場所があります」と彼女は言う。「彼らをこの山の中に送りたいのでしょう。遠く見えないところで、自分たちが忘れられるように。」

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺 つぐみ)

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