【ドイツ】一時代の終焉:1日8時間労働の廃止を検討

今年の日本社会におけるキーワードの一つは「働き方改革」ではないでしょうか。社員の残業時間削減や業務効率化に日本企業が知恵を絞る最中、驚くべきニュースが入ってきました。「働き方改革」の有力モデルともいえるドイツの経済諮問委員会から、1日8時間を超えて働けるようにすべきという勧告がなされたのです。急速に進むデジタル化に対応するというのがその理由ですが、この勧告はドイツ国内ではどのように受け取られているのでしょうか。また、日本の働き方改革にどのように影響するのでしょうか。本記事は、ロシア政府系メディアである、スプートニク・インターナショナルからの紹介です。
Post 2017811/14 11:39

Sputnik 2017/11/12

ドイツ政府の諮問機関は、政府に対し国の雇用法を緩和し、企業が従業員に1日8時間を超えて働いてもらえるよう勧告した。デジタル時代という挑戦に立ち向かうには変革が必要とのことだ。

経済問題についてドイツ政府に助言する学者らのグループは、国の雇用法を緩和する計画をアンゲラ・メルケル首相に提出した。この変革は、雇用者が労働者に1日8時間労働の伝統とは違うパターンで働いてもらえるようにするものである。グループは、テクノロジーの進歩により、伝統的な労働慣行が時代遅れになったと言及している。

「もっと柔軟な労働時間が、ドイツ企業の競争力には重要です」と、ドイツ経済諮問委員会委員長である、クリストフ・シュミット氏はドイツ紙ヴェルト・アム・ゾンタク(ディ・ヴェルト紙の日曜版)に伝えた。

「新しいデジタル世界で生き残りたいと考える企業は、機敏でなければならず、迅速にチームを集める必要があります。朝オフィスで仕事を始め、夕方に終えて帰るという考え方は時代遅れです」と、彼は続けた。

「ドイツでの(法律上の)労働者保護はその価値を証明してきましたが、デジタル化した労働環境には、もはや合わない部分があるのです」と、RWI*(ライプニッツ経済研究所)のエコノミストであるシュミット氏は同紙に伝えた。

「例えば、従業員が夕方の電話会議に参加したり、朝食中にメールを見たりしていると、企業は違法活動をしていないことを保証する必要があります。柔軟な労働時間は、企業だけでなく、デジタル・テクノロジーでもっと柔軟に働くことができる従業員も支援するものです」と、彼は説明した。

現在のドイツ雇用法は、従業員は1日あたり8時間、週当たり48時間を超えて働いてはならず、次の勤務時間との間に11時間の休憩を取らなければならないと言明している。

識者らは1日8時間の規制を廃止し、11時間の休憩を9時間に削減することを望んでおり、週労働時間を48時間に制限する法律のみが現状のままである。

ドイツ経済諮問委員会は1963年に設立された法定委員会で、ドイツの政策立案者らに経済政策の問題に関して助言を行っている。先週、識者らは年次報告書をドイツのアンゲラ・メルケル首相に提出し、その中に労働改革のための提案も含まれている。

メルケル氏は現在、ドイツの次期連立政権である、いわゆる「ジャマイカ連立」形成のための交渉を行っている。労働法改革は、メルケル氏のCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)、FDP(自由民主党)、および緑の党により議論されているテーマの1つである。

(ニュース翻訳情報局 渡辺 つぐみ)

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