【ドイツ・教育】ドイツ大学、ムスリム学生への苦情を理由に宗教活動規約を制定

以前、当サイトでドイツの一部都市で、難民流入を禁止した記事を紹介しましたが、さらにドイツの大学で初めて、宗教活動について一部制限を加える規約が制定されました。これは、図書館内で大きな声で礼拝をする、大学構内のバスルームを水浸しにする、といった一部ムスリム学生の宗教活動に対する苦情に対応したものです。メルケル首相による移民に寛容な政策と、実際の受け入れ現場との意識の隔たりが日々大きくなっているように感じます。賛否両論あると思われるこの規約、皆さんはどう思われますか。こちらの記事はDailyCallerからの抄訳になります。
Post 2017/11/07

ドイツのとある中堅大学では、ムスリム学生が図書館で騒々しく礼拝をし、足を清める儀式としてキャンパス内のバスルームを水浸しにすることに対する苦情への対応として、宗教活動規約を制定した。

ハンブルク大学は、宗教に関係する一連の規則を新たに制定したと、ロンドンを拠点とする教育ニュースのウェブサイトである、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが報じている。

42,890名の学生を有するハンブルク大学は、ドイツでそのような規約を制定した最初の大学である。

ハンブルク大学の執行部は多くの苦情を受けた後、宗教活動規約が必要であると決定を下した。

ディーター・レンツェン学長によると、バスルームを水浸しにし、図書館で大声をあげて礼拝することに加え、「見た目がサラフィスト*」と表現される学生らは、女性のムスリム学生がキャンパス内でベールをまとうよう要求した。

*サラフィスト:イスラムの初期の時代(サラフ)を理想とし、その原則や精神の回復によて現状の革新をめざす考えの信奉者。

(出典:百科事典マイペディア「サラフィーヤ」より)

タイムズ・ハイヤー・エデュケーションによると、「これまで、仏教徒の学生への苦情はなく、キリスト教徒の学生へは少しだけでしたが、ムスリム学生について非常に多くの苦情がありました」ともレンツェン氏は語った。

ムスリムの学生らは、「大学生活を動揺させています」と、レンツェン氏は語った。

10月に発表された、ハンブルク大学の新しい宗教活動規約では、学生がキャンパス内のどの場所においても、大きな声で礼拝することを禁止している。しかし、規約では「図書館で静かに礼拝するのは許容範囲といえる余地がある」としている。

また、規約は宗教的な儀式のために用意されている大学の瞑想室で、「性・ジェンダーにより部屋を分け、男性または女性の訪問者に対して差別すること」を禁止している。

新しい規約が導入される前、ハンブルク大学のムスリム学生には、大学当局の許可なく瞑想室内にカーテンを据え付け、礼拝で男性と女性を分ける者もいた。

宗教活動規約の他の部分では、公式にキャンパス内のレストランに、「宗教的な食事の指針、および制約に沿った」食品の提供要請を無視することも認めるとした。

さらに、他の規約項目では、学生は宗教的な祭および祝日を理由とした休暇要請ができないと言明している。教員が特別な便宜を与えないとしたときは、学生は「その結果を甘受」しなければならない。

「コース日程および大学行事のいずれも、宗教的な要求に従った形では計画されていない」と規約は注意している。

規約は、完全に体を覆うベール、部分的に覆うベール、または他の宗教的な衣類について見解を示していない。「学問的な交流および試験が影響されないことが自明であれば」そのような衣類を、「教室でまとうことは、それ自体は妨げになるものではない」としている。

「各機関の目的を妨げない限り、(日本の憲法にあたる)ドイツ基本法には、特定の宗教的実践を妨げる法的根拠がありません」と、ハンブルク大学学長のレンツェン氏はタイムズ・ハイヤー・エデュケーションに伝えた。

ハンブルク大学は1919年に設置され、QS世界大学ランキングでは223位であり、ノートルダム大学の数位下である。

1990代後半に、ドイツの都市であるハンブルク市は、ハンブルク・セルと呼ばれる、イスラム過激派組織の本拠地となっていた。その中には、モハメド・アタおよびその他9.11米国同時多発テロ事件のテロリスト数名が含まれる。

参考:ハンブルク大学宗教活動規約の原文(ハンブルク大学HPより)

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺つぐみ)

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