【米国・意識調査】米ミレニアル世代の44%が社会主義を好む傾向-彼らはその意味が分かっているのだろうか?

共産主義犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)は、社会主義に対する米国の態度に関する第二回目の年次報告書を発表しました。ミレニアル世代では資本主義国より社会主義国で生活することを支持する割合が多く、米国人の半数が毛沢東のことを聞いたことがないと答え、7割は共産主義政権が殺害した人の数をはるかに低く見積もっていました。著者は若い世代に共産主義思想の危険性について警告すべきだと訴えています。こちらの記事は米国Dissidentから紹介します。

Post 2017/11/05  11:54

今年のボリシェヴィキ革命100周年を迎え、多くの人々は集合的記憶の中に共産主義というものがあったことを思案させられた。ウラジミール・レーニンのボリシェヴィキがペトログラードで権力を掌握し、共産主義が世界の舞台で残忍なデビューを飾ってからまる一世紀が過ぎた。執筆者、活動家、そして政治家は一様にこう質問する。共産主義の100年から米国は何を学んだのか?

その答えは?明らかに大して学んでいない。

共産主義犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)は昨年、社会主義と共産主義に対する米国人の態度に関する初の調査結果を発表したが、その結果米国社会における憂慮すべき傾向が明らかになった。

私たちが発見したのは、共産主義政権が犯した犯罪について記憶喪失が蔓延していることと、そして米国の若い世代の間に共産主義と社会主義に対して好意的な見方が増加する傾向にあるということだった。

我々は今週、二度目の年次調査を終えて米国人の間での共産主義についての意見が2016年からどのように変化したか追跡した。その結果は楽観的な材料になるものではない。

まず第一に今年の時点で、ミレニアル世代(米国で2000年代の初頭に成年期を迎えた世代のこと)では資本主義国 (42%)よりも社会主義国(44%) で生活することが好ましいと考える人が比較的多い。あるいは共産主義国(7%)という答えすらある。資本主義より社会主義を好むとする割合は、ミレニアル世代のほうが全体での割合より10ポイント高い。

この調査結果の重要性はどれだけ誇張してもし過ぎることはない。昨年の時点で、ミレニアル世代はベビーブーマー(1946年から1964年の間に生まれた米国人)の数を凌ぎ米国社会で最大の世代となったのだ。

米国で最大の世代は、法の支配、私有財産、限られた国家の干渉を尊重する自由市場制度の下で生活するより、社会主義か共産主義の下で生活したほうが良いというのだ。調査結果は、ミレニアル世代が社会主義と共産主義に熱狂しながらも、実際にその言葉が何を意味しているか分かっていないという事実と相まっている。

我々の調査から分かることは、ミレニアル世代にとっての社会主義の魅力はその思想についてどれだけ熟知しているかとは関係が薄く、現在の経済制度、彼らが自由市場の資本主義による欠陥だとしている問題に対する不満との関係がより深いということだ。

ミレニアル世代は米国の経済制度に対して、53パーセントという最も高いレベルで不満を報告しており、米国の自由企業体制が自分たちの支障となっていると考えていることが分かった。10人のうち7人の米国人は、最も高収入の米国人が公平な応分の負担をしていないと感じていた。その半数は富裕者の税金を上げるのが不公平を解決する方法だと表明しており、37パーセントの人が「米国の経済制度の完全な変更」を支持していた。

注目すべき調査結果として、共産主義または社会主義的な考え方を持っているにもかかわらず、3分の2以上の米国人が言論の自由が完全に守られることを支持しているというものがあった。これは朗報であり、米国の大学内でゲスト講演者に暴力的な抗議と脅迫が行われることが、広く認められる行為ではないということを示している。

社会主義者そして特に共産主義者は、出版、言論、任意団体を国が規制することを歴史的かつ思想的により広範に支持してきた。この調査結果で分かるのは、社会主義と共産主義を支持するミレニアル世代が、自分たちの表明している政治的な信条の意味するところを十分に考慮していなかったということだ。

ミレニアル世代が社会主義を好む傾向が明らかに高まっていることを考慮すると、彼らが世界で最も新しい社会主義国、ベネズエラのことをよく知っているだろうと思うかもしれない。

残念なことだが、米国人は社会主義そのものの定義について無知であるのと同様に、社会主義のベネズエラで高まっている状況についても知らない。調査に参加した米国人の10人に6人はベネズエラの社会主義独裁者であるニコラス・マドゥロ(大統領)ついても、その支配下で起きている経済危機と人権侵害についても全く知らなかった。

ボリシェヴィキ革命から100年、米国最大の世代の大多数は社会主義に対して大きな情熱を示す一方で、社会主義の定義を聞かれてそれを正確に特定することもその結果を検証することも全くできないのだ。事態は悪化している。

米国人の10人に7人は、過去100年に共産主義政権の手で殺された人の数を大幅に低く見積もっている。ミレニアム世代の半数が毛沢東のことを聞いたことがないと言っている事実を考えると、これは意外なことではない。毛沢東はその政策によって約6,000万人を殺害し、20世紀最大の大量殺人者となった。

残念ながら、西洋で共産主義の恐怖、大量虐殺、そして破壊の遺産についての無知が広まっていることを示すものはこのようなデータだけではない。今年シャーロッツビルでは、ハンマーと鎌が描かれた共産主義の旗がナチの旗に対抗して振られた。アイルランドでは(人種差別主義者で同性愛嫌悪の殺人者である)エルネスト・「チェ」・ゲバラの切手が発行され、キューバ、ボリビア、アルゼンチンでは彼の死後50周年を記念して数千名が集まった。ウェストポイント(米陸軍士官学校)の卒業生でアフガニスタン戦争を経験した人物は、制服の下にチェの肖像を身に着け公然と「共産主義は勝利する」と宣言した。暴力的で好戦的な極左の団体は「反ファシズム」と称して脅迫と敵対的な行動を取り、そのことでメディアの称賛を受けている。報道機関は共産主義の下での生活の美徳を称賛する記事を出し、共産主義が成就したのは「すべて良いこと」だと指摘している。

一方中国共産党の指導者(新たに洗礼を受けた世界で最も権力をつ男)は、世界で最も人口の多い国に圧政を敷いているが、その手下たちは彼のことを新たな毛沢東だと宣言している。彼は自国内で力と脅しを使い権力を確固としたものにしているが、国民の最も基本的な人権を否定している。国外では詐欺と虚報、そしてサイバースパイ活動を利用して出版社を締め出し批判の声をかき消し、ソビエト連邦の「悪の帝国(1983年にレーガン大統領が演説の中でソ連を呼称した言葉)」の時代以来で最も野心的な帝国主義的計画に従事しようとしている。

共産主義は後退しない。決して退かない。単に忘れられただけだ。そしてその醜い頭をもう一度公然と臆面もなくもたげており、我々は今世紀において前世紀と比べるとその思想的な難題に直面する準備がはるかに不足しているようだ。

1917年の共産主義革命によって人類の歴史上で最も血生臭い世紀が始まった。2017年において、我々はこのおぞましい思想の衝撃的な遺産をほとんど忘れてしまっている。これからも嘘の約束、虚偽の巧言、そして歴史上最も有能な死のカルトを無知ゆえに美化することに惑わされ続けるのだ。

ありがたいことに希望の兆しはある。昨年に比べるとミレニアム世代の中で、共産主義が今日でも問題だと考える人が増えている。更にウラジミール・レーニン、ヨシフ・スターリン、そしてチェ・ゲバラのような共産主義者に対するミレニアル世代の支持は、昨年に比べると低下した。一方、米国の最も若い世代(Z世代=1995年から2010年生まれの世代)は個人の価値を認め、あらゆる形態の(特に共産主義の)集産主義に厳しい疑いの目を向けるという態度を示している。この世代はグレート・リセッション(2000年代後半から2010年代初頭までの間の大規模な経済的衰退)の後の時代に生まれ、質素で起業家精神にあふれており、米国の経済制度は自分たちの利益に適うものだと確信している。

この肯定的な傾向にもかかわらず、米国の最も若い世代は共産主義政権の犯罪やマルクス主義者の思想が、どのようにしてそのような残虐行為を直ちに可能にしたのかについてほとんど無知のままだ。

この恐ろしい思想を本当に歴史の灰だまりに捨てたいと願うのであれば、我々には米国の新しい世代にその危険性について警告する責任がある。真実を伝える責任があるのだ。

(海外ニュース翻訳情報局 竹林浩)Photo: David Shankbone

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