【ロシア:声明文翻訳】ロシアの国連参事官が辞職

By Mariko Kabashima

ロシアの国連参事官が辞職しました。
辞職したのは、ボリス・ボンダレフ氏。

同参事官の声明文を全文翻訳しましたのでご紹介します。

強烈なプーチン政権への批判で、全世界のロシアの外交官に同政権に「No」を突き付けるよう呼びかけています。

この記事は、このリポートを独占発信したUN Watchのリポートからご紹介します。


《引用記事 UN Watch 2022/05/23》

独占取材:国連でロシア上級外交官が辞職 “これほど自国を恥じたことはない”

ジュネーブに拠点を置く独立系非政府人権団体「UNウォッチ」の独占リポートによると、ジュネーブにあるロシアの国連参事官が辞職した。

2022年5月23日ジュネーブ発——
ジュネーブに拠点を置く独立系人権団体UN Watchの独占報告によると、2月に始まったウクライナ侵攻以来、亡命した最高位の外交官である、ジュネーブのロシア国連顧問が辞任した。

ボリス・ボンダレフは、ジュネーブ駐在の外交官たちと共同声明を発表し、 「これほど自分の国を恥じたことはない」 と述べた。

「ボリス・ボンダレフは英雄です」 と、現在、人権活動家の年次集会であるオスロ・フリーダム・フォーラムに参加しているUNウォッチ事務局長ヒレル・ノイアー氏は述べた。

「わたしたちは現在、国連にいるほかのすべてのロシア外交官、そして世界中の外交官に対して、道徳的前例に従って辞任するよう求めています」

「米国、英国、EUは、自由世界の先頭に立って、より多くのロシア外交官が外交官とその家族を保護し、財政的な安全を確保し、再定住させることで、ロシア外交官の追随と亡命を奨励するプログラムを策定すべきである。」とノイアーは述べた。

「ボンダレフは今週のダボスでの講演に招待されるべきです。英国とEUは自由世界の先頭に立って、より多くのロシア外交官が外交官とその家族を保護し、経済的な保障と再定住を提供することで、ロシア外交官の追随と亡命を奨励するプログラムを作るべきです」とノイア氏。

UN Watchは最近、国連人権理事会からロシアを追放するキャンペーンの先頭に立った。

このスイスの人権団体はまた、4月に戦争反対を理由にモスクワで逮捕されたロシアの政治犯ウラジーミル・カラ=ムルザ氏の釈放を求める30のNGOのキャンペーンを国連で主導している。UN Watchはまた、彼の妻エフゲニア・カラ=ムルザを国連で演説するために招待した。

エフゲニア・カラ=ムルザ氏のコメント:
「私は、ロシアのボリス・ボンダレフ国連参事官が、プーチンの嘆かわしい犯罪者政権から退くという、期遅きに失したとはいえ、立派な決定を下したことを称賛するとともに、世界中のロシアの外交官に、これに倣い、ウクライナとロシアを同時に破壊しようとする政策を非難するよう求めます。戦争は終わらなければならず、私の夫ウラジーミル・カラ=ムルザと、プーチンの血なまぐさい殺人政権の人質を含むすべての政治犯は、直ちに解放されなければなりません」


ジュネーブ-国際連合ロシア参事官ボリス・ボンダレフの声明

私の名前はボリス・ボンダレフです。私は2002年からロシア外務省に勤務し、2019年から現在までジュネーブ国連事務所ロシア代表部の参事官を務めています。

外交官としての20年間、私はわが国の外交政策のさまざまな展開を目にしてきましたが、今年の2月24日ほど、わが国を恥じたことはありません。

プーチンがウクライナに対して、いや、実際には西側世界全体に対して放った攻撃的な戦争は、ウクライナ国民に対する犯罪であるだけでなく、おそらくロシア国民に対する最も重大な犯罪であり、わが国の繁栄した自由社会に対するあらゆる希望と展望を太字のZで塗りつぶしています。

この戦争を企てた者はただ一つのことだけを望んでいます。永遠に権力の座にとどまり、豪華で趣味の悪い宮殿に住み、ロシア海軍全体に匹敵するトン数と費用でヨットに乗り、無限の権力と完全な免責を享受することです。それを達成するために、彼らは必要なだけの命を犠牲にすることをいといません。すでに何千人ものロシア人とウクライナ人がこのために亡くなりました。

残念ながら、この20年の間に、外務省の仕事には嘘とプロ意識の欠如の度合いが高まっています。

しかし、最近数年間、これは単に破滅的にものになりました。偏りのない情報、公平な分析、冷静な予測に代わり、1930年代のソ連の新聞の精神にそったお決まりのプロパガンダがあります。自らを欺くシステムが構築されました。

ラブロフ大臣は、このシステムの劣化を示す良い例です。18年の間に、同大臣は、私の同僚の多くが高く評価していた専門的で教養ある知識人から、常に矛盾した発言を繰り返し発信し、世界(つまりロシアも)を核兵器で脅す人物に成り下がってしまったのです。

今の外務省は、外交のためのものではありません。外務省は戦争を煽ること、嘘と憎しみに関する全てです。外務省は、ごく少数の人々の利益に奉仕し、わが国の孤立と劣化をさらに助長しています。

ロシアにはもはや同盟国はありません。誰のせいでもなく、その無謀で誤った政策のせいです。私は外交官を志し、20年間外交官をしてきました。同省は私の家と家族になりました。
しかし、私はこの血なまぐさく、愚かで、まったく不必要な不名誉を、これ以上共有することはできません。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

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