【米司法省発表:全翻訳】ロシアのスパイ活動で元陸軍特殊部隊員に有罪判決

By Mariko Kabashima 2021/05/16

米陸軍特殊部隊員がロシアと共謀してスパイ活動をした事件で判決がでましたのでこちらについて米司法省の記事をご紹介します。

2020年8月に、ロシアの諜報員に機密扱いの国防関係の情報を渡したとして逮捕されたピーター・ラファエル・ジビンスキー・デビンスの判決が16年の禁固刑となりました。彼はロシアの諜報機関に機密扱いの防衛情報を提供するための陰謀で逮捕され、起訴されていました。

デビンズの主な経歴を調べましたのでこちらに記載しておきます。

デビンズについて少しだけ説明すると、1996年12月にロシアの将校から最初に接近され、この時、彼は将校に自分は「ロシア人の息子である」と語っていました。
1997年、ミネソタ大学を卒業し、予備役将校研修隊のメンバーでした。
2015年に、The Institute of World Politicsから戦略国際問題研究所の修士号を取得して卒業。(資料1

大学を卒業して間もなく、デビンズは再びロシアに戻り、コードネーム「IkarLesnikov」が与えられたそうです。(資料2

1998年7月、デビンズは陸軍で現役を開始。
1998年から2005年まで、彼は韓国、ドイツ、アゼルバイジャンの海外に派遣。(資料3
2005年12月、名誉除隊。
彼は2005年から2010年まで米国陸軍の非アクティブな予備兵。(資料4

尚、デビンズは、IWPのサイバーインテリジェンスイニシアチブのインストラクターでした。(資料5

2003年のある会議で、デビンズはコニャックのボトルとロシアの軍服を支払いとして受け入れました。(資料1

こういう経緯をみると、米国の特殊部隊員がロシアに機密情報を渡したというより、もともとロシアのスパイが米国の特殊部隊に入隊したという見方もできます。

デビンズは、2020年11月18日にスパイ活動を行うための共謀罪の一つの罪状について連邦裁判所対して罪を認めました。(資料6


米国司法省 2021/05/14】

Department of Justice
Office of Public Affairs

ロシアのスパイ活動を共謀した元陸軍特殊部隊員に有罪判決

ワシントン – バージニア州の男性(元陸軍グリーンベレー)が、ロシアの諜報員と共謀して米国の国防情報を提供した罪で、本日、懲役188ヶ月の判決を言い渡された。

ゲインズビルに住むピーター・ラファエル・ジビンスキー・デビンス(46歳)は、ロシアの諜報機関のエージェントと共謀したことを認めた。裁判所の資料によると、1996年12月から2011年1月まで、デビンズは定期的にロシアを訪問し、ロシア情報機関のエージェントと会っていた。1997年、デビンズはロシア情報機関のエージェントからコードネームを与えられ、ロシアに貢献したいということを証明する供述書に署名した。

「デビンズは、米陸軍将校としての誓いを破り、特殊部隊を裏切り、ロシアの情報将校に機密情報を暴露し、彼の部隊の詳細を提供し、スパイとして彼らをリクルートしようとするロシアの情報のための特殊部隊のチームメンバーを特定することで、わが国の国家安全保障を危険にさらした。」と司法省国家安全保障部門のジョン・ディマーズ司法次官補は述べた。「彼の行為は同僚や国に対する個人的な裏切りであり、それはロシアの諜報活動が我が国の軍隊を標的にしているという脅威を反映している。今日のほぼ16年の判決は彼の行為の深刻さを反映している。それはまた、同じ行為をやりたいと考えている人々への警鐘となるべきである」

バージニア州東部地区のラジ・パレック(Raj Parekh)連邦検事代理は、次のように述べた。「デビンズは、米陸軍特殊部隊の大尉を務めていたときも含め、あからさまに、繰り返し自国を売り渡した。」
「ロシアの諜報員に対する被告の大胆な情報開示は米国の国家安全保障を脅かし、仲間の軍人の安全を脅かした。この起訴は、宣誓を裏切った者の責任を追及し、極めて重大な犯罪で裁判にかけた者に責任を負わせるというわれわれの固い決意を明確にするものである。」

FBIワシントン支局のスティーブン・ダントゥオノ副支局長の発言は次のとおり。
「米国民や軍人への裏切りは許し難いものである。本日、デビンズはその非難されるべき危険な行為で有罪判決を受けた。」
「彼は国に奉仕し、仲間の特殊部隊チームを守ることを託されたが、その代わりに、自国の敵に国防に関する機密情報を提供することを選んだ。今日の判決につながったこの捜査は、FBIと我が国のパートナー国が、米国に対する国家安全保障上の脅威に、今後も熱心に粘り強く対抗していくということを思い出させるものである」。

「グリーンベレー(米陸軍特殊部隊員)は英雄、リーダーシップ、勇敢さを象徴しているが、デビンズはその正反対だった。」とFBIのカウンターインテリジェンス部門のアラン・コーラー・ジュニアー副長長は述べた。
「この事件のデビンズの行動は、仲間の兵士や自国を完全に無視していることを示している。FBIは、国を裏切ることを選択した人々を特定し、彼らを裁判にかけるために全力をで取り組む」。

1998年から2005年まで、デビンズは米陸軍の将校として現役で勤務し、化学部隊で勤務した後、米陸軍特殊部隊に選抜された。ロシアの諜報部員は彼に特殊部隊に入って仕事を続けるよう勧めた。彼は特殊部隊に入り、そこで大尉の地位で任務についた。

共謀の過程で、デビンズはロシアの諜報員に、米軍の一員として入手した化学物質や特殊部隊に関する情報などを提供した。2008年、現役を退いた後、デビンズはロシアの情報機関に、特殊部隊に所属していた時の活動に関する機密情報を開示した。

デビンズはまた、ロシアの諜報機関に彼の元特殊部隊のチームメンバーの名前と情報を提供し、彼らがロシアの諜報機関と協力するかどうかを確認するためにチームメンバーにアプローチするかどうかを評価できるようにした。

バージニア州東部地区のトーマス・W・トラクスラーとジェームズ・L・トランプの連邦検事補と国家安全保障局の防諜・輸出統制課のデイヴィッド・アーロンの公判弁護士がこの事件を起訴した。

バレク連邦検事代理とデマーズ司法次官補は、陸軍防諜部、FBIミネアポリス支局、英国警視庁およびMI 5のご協力に大いに感謝している。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 翻訳・文)

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