【米国:論文】Qアノン信者多数が精神疾患をもっていると報告

By Mariko Kabashima 2021/03/27

この論文は、ジョージア州立大学の社会心理学研究員であるソフィア・モスカレンコ氏によるものです。同氏と調査したところ、Qアノンのフォロワーはテロリストや過激派とは違い、深刻な精神疾患を患っている可能性が非常に高いとうことが明らかになりました。これはQアノン信者自らインタビューで述べていることなので、陰謀論者だとして偏見やレッテルでそう言っているのではありません。

日本でもJアノンと言われる陰謀論者が多数発生しているのをみると、日本でも不安を抱え、何らかの精神疾患のある人がそれだけいる可能性があるということではないでしょうか。
モスカレンコ氏は、この問題は、社会全体でメンタルヘルスの問題として取り組む必要があるとこの論文では述べているんですね。

2月13日に当サイトでも発信したワシントンポストのレポートには、議事堂暴動で逮捕された人の殆どが過去に経済的な問題を抱えていたというものでしたので、経済的な問題が精神疾患に関係するということもありそうでです。

こちらは、The Conversationからご紹介します。


《引用記事 The Conversation 2021/03/》

Qアノンは、1月6日の連邦議事堂の暴動のような陰謀、テロ、過激な行動と結びついたグループと見られることがよくある。しかし、このグループについての本質的な懸念過激主義やテロではない可能性がある。

数百万人とも言われるQアノンの信者たちは、小児性愛者や人食い人種による悪魔的な陰謀団が世界の政府とメディアを支配していると主張する根拠のない、でたらめな陰謀説を信じているようだ。彼らはまた、地球は平らであるとか、コロナウイルスは世界の人口をコントロールするために使われる生物兵器だとか、ビル・ゲイツが新型コロナウイルスのワクチンを使ってマイクロチップを人々に埋め込もうとしているとか、その他の多くの突拍子もない、ありもしない考えを支持している。

私は、社会心理学者として、普段はテロリストを研究している。安全保障学者のミア・ブルーム氏と共同執筆した近刊の「パステルと小児性愛者: Qアノンの心の中で(Pastels and Pedophiles: Inside the Mind of QAnon)」のためリサーチしているうちに、私はQアノンのフォロワーが、私が普段研究している過激派とは違うということに気がついた。どういうことかというと、彼らは深刻な精神疾患を患っている可能性が非常に高いということだ。


重篤な精神疾患

私は、多くのQアノンのフォロワーがソーシャルメディアやインタビューの中で、双極性障害うつ病不安神経症薬物依存などのさまざまな精神疾患を抱えていることを、自らの口で明かしていることを発見した。

連邦議会の暴動で逮捕されたQアノン信者の裁判記録では、68%がなんらかの精神疾患の診断を受けたと報告している。明らかになった症状には、心的外傷後ストレス障害、双極性障害、妄想型統合失調症、代理ミュンヒハウゼン症候群が含まれていた。これは、自分自身の注意を引くために、愛する人 (通常は子ども) に健康上の問題を作り出したり、負わせたりする心理的障害である。一方、精神疾患の診断を受けているアメリカ人は全体の19%である。

犯罪歴のあるQアノンの暴徒のうち44%は過激化する前に、自分自身や彼らの子どもへの身体的、性的虐待などの深刻な精神的トラウマを経験していた


陰謀の心理学

心理的な問題と陰謀論を信じることの関係性は、長い間研究によって明らかにされてきている。例えば、不安が、社会的孤立や孤独感を強めるのと同様に、陰謀的思考を強める。

抑うつ状態にあり、自己愛的で感情的に孤立している人は、陰謀的な考え方をする傾向がある。同様に、奇妙な行動、偏屈な行動、疑い深い行動、偏執的な行動、人を操ることが好きな人、無責任な人、共感能力が低い人も、陰謀論を信じる傾向がある。

Qアノンの出現は、米国で広がる精神衛生上の危機と重なっている。COVID-19でパンデミックが発生する以前から、精神疾患と診断される人の数は増加しており、2019年には2018年よりも150万人多く診断されていた

新型コロナウイルス感染症 (COVID:新型コロナウイルス感染症) に関連した不安と経済的な不安が重なって、ロックダウン (都市封鎖) で孤立し、状況はさらに悪化した。自己申告による不安神経症とうつ病患者は隔離期間中に4倍になり、現在では米国人口の40%にも影響を及ぼしている。


さらに深刻な問題

Qアノンの考え方を受け入れている人は、意図せずに、あるいは間接的に、より深い心理的問題を表している可能性がある。これは、自傷行為や心身の不調が、実際には深刻な心理的問題のシグナルである場合と似ているかもしれない。

Qアノンはテロや過激主義の問題というより、精神が病んでいるメンタルヘルス上の問題である可能性がある。

違法行為や暴力行為を行ったとして告発されているQアノン信者はわずか数十人しかいない。つまりそれは、何百万人ものQアノン信者にとって、彼らの過激化は彼らの意見であっても、彼らの行動ではないことを意味する。

私の考えでは、Qアノン問題のこの側面への解決策は、この問題がQアノンを信仰している人々を含む、すべてのアメリカ人のメンタルヘルスのニーズに取り組むことである。多くのQアノン信者とQアノン信者ではない他の多くの人々も、カウンセリングとセラピーから明らかに恩恵をうけることができるのである。

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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