【米国:オピニオン】国家諜報局の元主席事務官:トランプへの諜報ブリーフィング特権を取り上げることについて

バイデン大統領は、金曜日5日のCBSの夜のニュース番組のアンカー、ノラ・オドネル氏に、大統領就任後初めて対談を行いました。
その中で、バイデン大統領は、トランプ前大統領が1月6日の米国連邦議会議事堂占拠事件に関する「暴動とは関係のない常軌を逸した行動」から、トランプ氏はインテリジェンス・ブリーフィングを受けるべきではないと思うと述べました。

このバイデン大統領の言葉を聞いて、以前、30年以上インテリジェンスに携わってきたスーザン・M・ゴードン氏のオピニオンがワシントンポストに掲載されていたことを思い出しました。同氏は、トランプ政権の2017年から2019年まで国家諜報局の主席事務官でもあった人物です。
1月16日に発表されたものですが、非常によい論点を提示してくれていますので、このゴードン氏の見解をご紹介します。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)


ワシントンポスト 2021/01/16

Opinion by Susan M. Gordon

トランプ前大統領は『知る必要がない』。彼へのインテリジェンスブリーフィングをカットせよ

スーザン・M・ゴードンは、2017年から2019年まで国家諜報局の主席事務官であった。

現代のすべての元大統領は、ホワイトハウスを去った後、米国の利益を増進するための継続的な関与をサポートするために、定期的なインテリジェンス・ブリーフィングと機密情報へのアクセスという、独特な国家安全保障上の特権を享受してきました。これらのブリーフィングは元大統領へ敬意を表し、新大統領が与える慣習です。

しかし、この慣習は、ずっと前からトランプ大統領とともにその根拠がなくなりました。国家安全保障とインテリジェンスに対して、トランプが明確に示したアプローチは、この近い将来の前大統領に情報を提供することについて、より意図的な決定がなされなければならないことを示唆しています。

30年以上も諜報機関に勤務してきたベテランとして、私が勧めるのは、1月20日以降、トランプにブリーフィングを提供しないことです。これは新大統領の特権ですが、この単純な行動によって、ジョー・バイデンは、民間人であるドナルド・トランプがもたらす潜在的な国家安全保障上のリスクの一面を軽減することができます。

トランプは、大統領としての4年間、諜報機関が作成した情報と分析のすべての断片を、コンパートメントや分類に関係なく受け取ったり、あるいはその機会がありました。彼が読んだり聞いたりしたことの情報の価値を過大評価するのは難しいです。

ホワイトハウス後の、トランプの「セキュリティプロファイル」は、専門家の間で「ダウンティング(厄介ごと)」と言われています。前大統領は当然ターゲットであり、リスクもあります。しかし、トランプ前大統領は、先週の出来事の前でさえ、悪意を持った悪役には異常に脆弱かもしれません。彼は、 「元」 であるという控えめな責任を受け入れた前任者たちとは異なり、政治と政策に関与し続けるための明確なアジェンダを掲げて去っていきました。現代には、退任直後に政治に直接関与することをほのめかしたり、計画したりした大統領はいません。

加えて、トランプは外国企業を巻き込んだ重大なビジネス上の問題を抱えています。これらの現在の取引関係の多くは、他国の諜報機関の影響を受けやすい地域にあります。

そして、トランプがさらされたトレードクラフト*訳注*―スパイ活動に必要なノウハウ)を理解しているかどうか、彼が得た知識が開示されないように保護されなければならない理由、あるいは我々を犠牲にして彼らの利益を向上させるために何らかの手段を使う敵対者や競争者の意図や能力を理解しているかどうかは明らかではありません。

私は安易にこのような勧告をしているのではありません。それは、国家安全保障に対する脅威に対する私の深い理解、数十年にわたる海外での国民と利益の保護、そして敵に対抗するための技術的な手段を展開した経験に基づいています。

また、私は大統領との個人的な経験もあります。

私は彼に何度もブリーフィングを行い、大統領の国家情報担当の首席副長官として彼との会議に何度も参加しました。私は2019年に辞任しましたが、これは個人的な不満ではありません。インテリジェンスの専門家として、私は彼の方針や個人的な行動を公の場で判断しないようにしてきました。これは私の長年の経験から生まれたインテリジェンスとしての評価です。

いずれにしても、トランプ大統領が去る前に、インテリジェンス当局者は、大統領が既に見たことや話したことだけで直面しているリスクについて、すべての大統領と同じように話し合うべきです。彼は私たちの最も貴重なインテリジェンス資産のいくつかを彼の頭の中に入れてオフィスを去ります。

インテリジェンス資産は、そこにとどまる必要があります。そして、退任するすべての大統領は、それを思い起こす必要があります。

ここに良いニュースがあります。この決定を下すために新しい方針を確立する必要はありません。過去のポジションも過去のクリアランスも、機密情報へのアクセスが許可される「知る必要がある」という根拠にはなりません。トランプ氏は、大統領であるという理由だけでアクセスを正当化されるわけではなく、自ら知る必要性を主張することはできません。彼はそれを認めなければなりません。

そうすることで、このシステムの素晴らしさがあります。彼と機密情報を共有することが、将来のある時点で、国家の目的に役立つならば、新大統領が決定する情報を正確に手に入れることになります。他のみんなと同じように。

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