【米国:スクープ】どのようにして架空の人物がハンター・バイデンに関する陰謀論を蔓延させたか

バイデンを攻撃するためのハンター・バイデンの疑惑のもととなった64ページの文書が捏造されたものだという事が発覚しました。
この文書は、偽のインテリジェンス会社「Typhoon Investigations」による実在しない著者「マーチン・アスペン」が執筆したもので、この文書に係って、一部執筆したというホールディング氏自ら証言しました。
また、同氏は、バノン、郭文貴のYOUTUBE、エポックタイムズ、アップル・デイリーで発信。
それを拡散したのは、ロシアとかかわりのあるゼロヘッジを含む陰謀論サイトやQアノン。

こういう汚いやり口は、トランプサイドから出てきたものですが、まだ、こういうやり方をするトランプ陣営が善で、こういったやり方の被害者であるバイデンサイドが悪であると言っている人達は、この事実をどう受け止めるのでしょうかね。

こちらの記事は、メディアバイアスがやや左のNBCからご紹介します。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)


《引用記事 NBC 2020/10/30》【やや左】

ドナルド・トランプ大統領の側近によって 後に流布された64ページの文書は 偽の “インテリジェンス・ファーム “の仕業とみられる。

ハンター・バイデンのノートパソコンからファイルが漏洩したとされる一ヶ月前、彼に関する偽の「インテリジェンス会社」の文書が右翼のインターネット上で広まり、ジョー・バイデン前副大統領の息子と中国の企業が関与した入念な陰謀説を主張した。

こ研究者や公文書によると、この文書は、後にドナルド・トランプ大統領の側近が配布した64ページに及ぶ作文で、「Typhoon Investigations」という偽の「インテりジェンス会社」の仕業のようだという。

偽情報の研究者たちの分析によると、この文書の著者はスイス人の自称セキュリティアナリスト、マーティン・アスペンという人物で、しかもこのアスペンのプロフィール写真は人工知能の顔認識装置で作られたものだと結論づけた。

公的記録とソーシャルメディア検索によると、アスペンが以前の雇用主として挙げているインテリジェンス会社で、その名前の人物は一度も働いたことがなく、その名前の人はスイスに居住していないという。

この文書の元の投稿者の1人であるブロガーで教授のクストファー・ボールディング氏は、この文書について尋ねられたとき、その一部を書いたことを認め、アスペンは存在しないと述べた。

この文書の作者は疑わしく、匿名のソースであるにもかかわらず、ハンター・バイデン氏が中国共産党と問題のある関係にあるという主張が、中国政府に反対する人々や極右のインフルエンサー達によって、ジョー・バイデン候補が中国政府の恩義を受けていると根拠もなく非難されるために利用されてきた。

この文書とその流布は、ハンター・バイデンを中傷し、ジョー・バイデンの大統領選を弱体化させようとする広範な取り組みの一環となっている。

ドナルド・トランプ大統領の個人弁護士ルディ・ジュリアーニ氏とデラウェア州のアップル修理店の店主がハンター・バイデン氏のハードディスクだと主張するものから猥褻な写真を含む未検証の文書がリークされ、10月14日にニューヨーク・ポストに掲載された。ジュリアーニ氏と元ホワイトハウスの戦略責任者スティーブ・バノン氏を含むトランプ氏に近い関係者は、より大規模なリークや機密情報を約束したが、それらはまだ具体的に出てきていない。

しかし、偽の諜報文書は数ヶ月前にリークされており、それがきっかけとなって、右翼メディアの間で、しくじった10月のだし抜きになる基となった。つまりハンター・バイデンに関する陰謀説が次々と流布するきっかけとなった。


Typhoonの背後

Typhoon Investigationsの文書は、匿名のブログIntelligence Quarterly に9月に初めて投稿されたもので、そのブログの「about」のセクションによると「重要な日々のニュースを集めることに専念しています」とある。

過去に使われたドメイン記録によると、ブログは自称政治経済アドバイザーのアルバート・マルコ氏に登録されており、同氏は自身のTwitterのプロフィールにもこのブログを載せている。文書の出所について尋ねられると、マルコはボールディングから受け取ったと語った。

ボールディングは、以前フルブライト大学ベトナム校の准教授で、中国経済と金融市場を研究していた。同氏は、この文書が最初に公開されてから七週間後の10月22日に自身のブログにこの文書を投稿した。

「本当はやりたくなかったのですが、約2カ月前にバイデン氏の中国での活動に関する報告書を渡され、マスコミはカバーすることを拒否しました。私は報告書を書いたのではなく、誰が書いたのか知っていることを強く強調したいと思います」とボールディングは電子メールで述べている。

ボールディング氏はその後、NBC Newsに対し、この文書の一部を書いたと主張した。

「私はレポートの一部を執筆し、レポートの作成とレビューに携わった。研究者として、また外国の偽情報についての懸念を理解するために、報告書は、認知された情報源および公的な情報源からの活動を文書化することが最も重要でした。」とボールディング氏は述べた。「認知された事実をパブリックドメインで公開されるよう、情報を文書化し、引用し、保持するために細心の注意が払われました」。(ホールディング氏)

ホールディング氏によると、アスペンは「この報告書を発表するためだけに作られた完全に架空の人物だ」という。ボールディング氏はこの文書の主な著者名を挙げず、「報告書の主執筆者は、個人的および職業上のリスクのため、匿名性を要求します。」と述べた。

ボールディング氏は、この文書は香港を拠点とするタブロイド紙アップルデイリーが依頼したものであり、アップルデイリーは中国政府に対してしばしば批判的であると主張している。アップルデイリーの広報担当者は、この文書に関してボールディング氏と協力したことを認めた。

ボールディング氏は自身のブログにこの文書を掲載しただけでなく、バノン氏のポッドキャストや、中国政府に反対するトランプ支持のメディア団体エポックタイムズ(大紀元)が制作したポッドキャスト「China Unscripted」に登場し、極右のメディアでもこの文書を宣伝した。

2018年まで北京大学HSBCビジネススクールで経済学を教えた米国人のボールディング氏は、しばしば中国政府に批判的だ。同氏は今年、中国企業Shenzhen Zhenhua Data Technologyによる世界規模の大量データ収集事業を明らかにした情報源として話題になった。

ソーシャルメディア分析ツールのBuzzSumoによると、Intelligence Quarterly Blog、Revolver News、Baldingのブログを含む、この文書の最もわいせつな部分を取り上げたブログ投稿には、Facebook、Twitter、Redditを通じた7万件の公開インタラクションがあり、そこには反応、コメント、シェアが含まれている。

ボールディング氏のブログは、保守的なコミュニティーや陰謀論的なコミュニティーにおけるバイラリティの主要な推進者だった。BuzzSumoによると、このレポート自体はFacebookとTwitterで約5,000回シェアされ、同ブログにリンクされた80以上のサイトは、FacebookとTwitterで25,000回以上シェアされた。ハイパー・パルチザンでゼロヘッジ、WorldNetDailyなどの陰謀論サイトが上位を占めている。

1日前に大規模な暴露が約束された後、この文書はQAnon陰謀論運動の背後にある匿名のアカウントであるQによって過激派フォーラム8 kunにも投稿された。

ツイッター上では、QAnonコミュニティーのインフルエンサーや、贈収賄やその他の犯罪の告発の中で中国から逃亡した億万長者である郭文貴の下で働く反中国政府のYouTubeパーソナリティであるDinggang Wangによってもプッシュされた。共和党のニュート・ギングリッチ前下院議長は、230万人のフォロワーにこの文書をツイートした


ひと目で疑わしい

この文書が偽情報研究者の注目を集めたのは、文書の作成者の画像のせいもある。

オーストラリア戦略政策研究所の研究者であるエリス・トーマス氏は、ウェブ上でTyphoon Investigationsのアスペンを検索した際に、偽の写真の証拠を最初に発見した。トーマス氏は、@TyphoonInvesti1というアスペンのTwitterアカウントを見つけたが、そこには8月15日に文書を含むTyphoon のWordPressページへのリンクが投稿されていた。

アスペンのプロフィール写真には、コンピューターで生成された画像であり、コンピューターや一部のウェブサイトでも作成できることがすぐに示された。アスペンの耳は非対称だが左の目は彼が実際には存在しなかったことを示している。アスペンの左の虹彩が突出し、第2の瞳孔を形成しているように見える。

「最も明白なのは、虹彩の不規則な形でした。」とトーマス氏。
「プロフィール写真はTwitterのサムネイルではかなり説得力があるように見えるが、フルビューでポップアップしてみると、すぐに不審に思いました。」。

トーマス氏はその後、分析会社のグラフィカの調査担当ディレクター、ベン・ニモ氏に相談したところ、同氏はコンピュータが作り出した顔のもう1つの特長を指摘した。

「彼と彼のチームが解明したことの1つは、、これらの画像をたくさん重ねると、目の位置が揃うということです」とトーマス氏は述べた。「彼はこの画像でそうやって、目が揃いました」。

アスペンの身元に関するものは、明らかにネットのさまざまな部分から盗まれたものだ。アスペンのFacebookページは昨年8月に作成され、掲載されたのは二枚の写真だけで、いずれも「新居」の写真で、旅行サイトTripadvisorのレビューにつながっている。Typhoon Investigationsのロゴは、デジタルリテラシーに関する非営利団体である「台湾ファクトチェックセンター」から引用されたものだ。

アスペンはリンクトインのプロフィールで、2016年から2020年までスイス・セキュリティー・ソリューションズ社という会社で働いていたと主張していたが、スイス・セキュリティー・ソリューションズ社はアスペンという名前の人を雇ったことはないと否定し、同社で働いているふりをした他の二人の人の偽アカウントを見つけたと述べた。

スイス・セキュリティー・ソリューションズ社の会長、ボヤン・イリッチ氏氏は、

「マーティン・アスペンは、スイス・セキュリティ・ソリューションのフリーランサーや労働者ではありませんでした。私たちはこの人物を知りません。当社のデューデリジェンス・ソフトウェアによると、この人物はスイスには存在しません。」と述べ、LinkedInにそのプロフィールを報告したと付け加えた。


フェイクフェイス

コンピュータで作成された顔は、選挙を前に大規模な偽情報操作の定番となっている。昨年12月、Facebookはエポックタイムズ(大紀元)に関係するコンピュータで作られた顔を使った偽アカウントのネットワークを削除した。Facebookは、親トランプ派のメッセージをプッシュし、いくつかのフェイスブックグループのモデレーターとしても機能しこの作戦に結びついた600以上のアカウントを削除した。エポックタイムズの米国版の発行者 スティーブン・グレゴリーは、アカウントとの関連を一切否定している。

先月、Facebookは中国とフィリピンのコンピュータで生成されたプロフィールを削除したが、その中にはトランプ批判の投稿もあった。

スタンフォード大学インターネット天文台の研究者、レニー・ディレスタ氏によると、偽情報キャンペーンでは、コンピューターで作成されたIDが一般的になりつつあり、その理由の1つは、IDを簡単に作成できることだという。

ディレスタ氏は先月、保守的な非営利団体Turning Point USAがAIによって生成した顔の輪を調査するのを手伝った。同氏によると、「コンピューターで生成されたプロフィール画像は、”人為的に大義を支持する為に 偽の人々の軍隊を作り 偽の情報操作を発見しにくくする為“使用できる」という

「捜査官たちが、広まっているストーリーを理解するために調べていることの1つは、アカウントが本物かどうか、実物であるかどうかです。」とディレスタ氏。「もし彼らがストック写真を使ったとしたら、それは何か不正なことが起こりそうなことを確認する。AIで生成された顔を使うことで、インターネット上の他の場所でその人物を見つけられないことを保証できます。」と同氏は語った。

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