【バチカン】ローマ教皇メッセージ全文:全世界に向けて再度核兵器廃絶を訴える

NHKをはじめ、ローマ教皇フランシスコの75年目の広島・長崎原爆忌へのメッセージの報道の仕方が、一部だけを切り取って報じられているので、間違ったニュアンスで伝えられているようなので、メッセージ全文を転載いたします。

広島県の湯﨑英彦知事に宛てたメッセージで、教皇は、昨年11月に行われた広島・長崎両市への訪問を振り返りながら、平和構築と、核兵器廃絶への思いを記されているとのこと。

しかし、このメッセージは、ネットで批判されているように、決して広島知事に対して核廃絶するように訴えたものではありません。
その部分は、来日された時、広島で全世界に向けて発信されたときのものを引用し、再度全世界に向けて訴えたものです。

全体を読めば、そういうことが読み取れるはずです。
揚げ足取りのような批判が世論で上がることは、日本の味方になってくれる諸外国の人々を遠ざけることになりかねないし、逆に日本を批判する材料にされかねません。
悪意の解釈はやめるべきです。

教皇フランシスコの、75年目の広島・長崎原爆忌へのメッセージは次のとおり。

VATICAN NEWS 2020/08/05

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1945年の広島への原爆投下から75年を迎えるこの厳粛な記念において、主催者の皆様、そして参加者の皆様、とりわけ被爆者の方々に謹んでご挨拶申し上げます。

わたくしは、昨年11月の司牧訪問の際、広島市と長崎市を自ら訪れるという特別な機会を得ました。この訪問で、広島の平和記念碑と長崎の爆心地公園において、75年前の恐ろしい戦争の日々、この両都市で起きた、人命と資産の破壊について思いを深めることができました。

昨年、わたくしは平和の巡礼者として日本を訪れました。それゆえ、わたくしは、平和を強く希求し、平和のために自らを捧げようとする、今日の人々、特に若い人々の熱望を、今も心にとどめ続けています。同時に、わたくしは、貧しい人々の叫びをも心にとどめます。彼らは常に、暴力と紛争の最初の犠牲者です。

平和を花開かせるには、すべての人々が兵器を、特に最も強力で破壊的な核兵器を捨て去る必要があることが、これほど明白なことはありません。核兵器は、都市や国々を根こそぎに破壊することができるものです。昨年、広島で申し上げたことを繰り返したいと思います。「原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています」(2019年11月24日、広島平和記念公園でのメッセージ)。

広島と長崎の被爆者の方々の預言的な声が、わたしたちと未来の世代への警鐘であり続けますように。これらの方々に、そして和解のために働くすべての方々に、わたしたちは詩編のこの言葉を、自らのものとしてお贈りしたいと思います。「わたしは言おう、わたしの兄弟、友のために。『あなたのうちに平和があるように』」(詩編122,8)。

この原爆忌を記念されるすべての方々の上に、神の豊かな恵みをお祈り申し上げます。

フランシスコ

バチカンより、2020年7月15日 

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