【緊急提言】じわじわと侵攻してくる中国から日本の南西諸島を防衛する

グラント・ニューシャム氏による、日本に対する中国の侵攻についての分析とオピニオンをアシアタイムスの記事から紹介いたします。この記事は、改めて読んでみると衝撃的な内容です。元駐中国大使ジェームズ・リリーの中国人についての発言、「彼らはまず買収しようとする。次に脅そうとする。それから何も言えなくなる」このことを真剣に考えるべきではないでしょうか。グラント・ニューシャム氏は、米国外交官、ビジネスエグゼクティブ、米国海兵隊員として日本で20年間の経験を持つ東京の日本戦略研究フォーラムの上級研究員です。
post 2017/10/14 8:43

 OCTOBER 13, 2017 9:52 AM (UTC+8)

哀れな日本。北朝鮮の核攻撃に不安を感じつつ、負けず劣らず強力な中国の脅威に直面している。それは九州から台湾に伸びる南西諸島を失うという脅威だ。

しかし、この場合の中国による脅威は核攻撃ではなく、じわじわと侵攻してくるというものだ。

当面の危機に瀕しているのは列島の南端に近い小さな尖閣諸島(中国では釣魚島)だ。長い間日本の支配下にあった島嶼群であるというのに中国は領有権を主張している。

尖閣論争が過熱した2010年頃から、中国は着実に尖閣諸島周辺での漁船団、沿岸警備隊、そして海軍による活動を拡大してきた。

中国の船団が現れる場所と頻度は増え、日本の海上保安庁が対処できる数を上回っている。中国の空軍もまた、日常的に日本の領空を侵犯しており、迎撃(準備)のために戦闘機がこまめに緊急発進させられてきた。

日本を待ち受けることを教えてくれるような厚かましい事例が一つある。2016年8月、北京は200隻以上の漁船と15隻の中国海警局の公船を尖閣諸島に送ったのだ。視界の外には中国海軍がいた。数に圧倒された日本ができることはほとんどなかった。

当然ながら中国はいつでも望むときに尖閣諸島を取れると考えている。中国の「漁民」が尖閣諸島に上陸し、中国海警局が日本に対して対応できるものなら対応してみろと挑発するようになるのも時間の問題だ。

そして尖閣諸島以外にもまだある。北京はいつもやっているように拳を振りかざす素振りを隠すことなく、日本の沖縄を含む南西諸島全体が中国の領土だとしかるべく宣言してきた。

残念なことに、日本(そしてアメリカ)は、北京が忘れてしまうことを期待してそのような思惑に満ちた侵害を無視する傾向にある。忘れることは決してないというのに。

しかし、日本には中国のことを真剣に受け止めている者もいる。日本の自衛隊は、遅まきながら南西諸島で軍事的な存在感を確立しつつある。

自衛隊は複数の島(与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島)で小さな基地を建設しており、建設予定のところもある。名目上は情報収集のためだが、対艦ミサイルと対空ミサイル、そしてミサイル防衛も含まれている。

日本の航空自衛隊は沖縄の那覇にF15の1個飛行隊を追加配備し、海上自衛隊も多少存在感を強化している。しかし、全体の取り組みにはまとまりがなく、それぞれの部隊が独自の能力を一つのまとまりのある防衛計画へと統合できていない。

これは勝ち目のない戦略であり、日本は結局大群に囲まれて対応できなくなることだろう。日本の漁師は、数十年漁業を営んできた尖閣諸島周辺の海域を訪れることを既に止めてしまった人が多い。

しかし、日本にはまだ徐々に制圧されていくことを防ぐための選択肢もある。

まず、南西諸島を防衛するための系統的な計画を実施することだ。その中心的存在となるのは南西諸島防衛の任務を負う統合任務部隊(JTF-Nansei Shoto)だ。これによって自衛隊の三つの部隊(空、海、陸)は、自発的には行わないことをやらざるを得なくなる。すなわち協力し合うことだ。

そうして南西諸島の防衛力を継続して強化し、その海域で定期的にパトロールと演習を行うのだ。

しかしながら、日本だけでは南西諸島を防衛することはできない。それには米軍が必要であり、それが織り込まれれば中国の計算は大幅に変化して日本の先行きもそれに応じて好転する。

2014年に、オバマ大統領は尖閣諸島に日米安保条約が適用されると宣言し、米国当局は定期的にこれを確認している。それにもかかわらず、中国は日本に対する領海侵犯と領空侵犯の程度と頻度を増やし続けている。

それ故、もっと具体的な方策が必要だ。日本と米国は南西諸島のための共同防衛計画を策定し、南西諸島海域で定期的かつ頻繁な海・空のパトロールと演習を共に開始する必要がある。

これは簡単だ。9月に米国ロナルド・レーガン空母打撃群は、朝鮮半島を念頭に置き、東シナ海で日本の海上自衛隊と合同演習を実施した。単に焦点を調整してこれをもっとやるだけのことだ。

一方で、米国空軍と海軍戦闘機は領空侵犯してくる中国の戦闘機に対して航空自衛隊と一緒に緊急発進することができる。

そして、やっとのことで尖閣諸島については薄氷を踏む思いをすることはなくなる。日本のものかそうでないかのどちらかでしかない。臆病な行動を数十年重ねた結果、全くの危険にさらしているのだ。

米国海軍と日本の自衛隊は、尖閣諸島の近くにある2カ所の海上射撃場を即座に使い始めることができる。それは、中国の態度が改善されることを期待して、ジミー・カーターが大統領だったとき以来使われたことがなかった。
いよいよ日本は沖縄での中国の政治的な戦いと破壊活動について行動を起こすべきだ。無視しても無くなることはない。米国が北マリアナ諸島とパラオで学んだ通り。

これらはすべて日米安保条約で求められる通りの所定の活動だと発表するのだ。説明の必要はない。北京もそうしているのだ。

日米合同の軍事作戦は、中国の視点からすれば(特に政治的には)最も厄介な抑止力だ。もちろん中国は日本とその同盟国が日本の領土を守ることに文句を言うだろう。今に始まったことではない。それはまた、何も行動しない理由にもならない。

米国の元駐中国大使ジェームズ・リリーは中国人について次のように述べた。「彼らはまず買収しようとする。次に脅そうとする。それから何も言えなくなる」
(翻訳 H・T)

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