【米国:全文翻訳】ボルチモア郡の警察官から抗議者への公開書簡

ジョージ・フロイドの死後、抗議者の抵抗が激しくなっています。特に、警察に向けられた憎悪が、警官達に恐怖をもたらしているようです。
この書簡は、ボルチモア郡の警察官からの抗議者たちへの書簡です。
公開されましたので、全訳しました。
ほとんどの警察官が善良で奉仕の精神で職務に真っ当している中、一部の悪徳警官によって命の危険を感じることがあるようです。
善良な警察官が職務を全うできなくなる混乱が、どれだけのリスクを及ぼすか、善良な警察官をささえるのは、善良な国民だということがわかります。
米国のこういった声があることも知って欲しいです。


ザ・ボルチモア・サン 2020/06/03

抗議者への公開書簡

座ってコーヒーを飲みながら話をします。私は5年間の短いキャリアの中で多くの良いことをしてきたと話すことから始めます。ある大学のキャンパスで、妄想にとりつかれた人物が、銃を手にし、寮の廊下をうろついていたとき、私はその現場の副士官でした。その事件では、まさに性的暴行を加えようとしていた犯人を見つけました。

数ヶ月前、私は発砲の通報をうけ、暗闇の中で武装した人を追いかけパートナーの助けを借りて捕まえました。数週間前、警官のグループの一員として、私は高速追跡で「武装した危険な」殺人犯を捕まえました。いずれも怪我人はでませんでした。ニュースにもなりませんでした。

私の関心は、メディアを批判することではありません。単に、警察を巻き込むネガティブなニュースのたびに、何千ものポジティブなニュースが、事件もならず、認識されることもなく、普通に進行していることを指摘したいだけなのです。

良い事をした私の話をします。私は一人の命を直接的に救い、他の多くの命を間接的に救ってきました。私は出頭命令を出せる時にも、たくさんの警告を出しました。私は刑務所に入れることができた時でも、家に帰したこともあります。毎年、私は自分のお金で何百ドルも費やして、飢えた人々のために食料を買い、動けなくなった人を運び、ホームレスの人々のためにシェルターにお金を使いました。

飲酒運転の容疑者の障害のほとんどが未診断の脳損傷によるものであることが判明した後、彼の車をレッカー場から出すためにレッカー代を払った時のことを話します。人を撃ちそうになったことも何度かありましたが、そうならず、ほんの数ミリ秒の違いでした。私は、やりすぎや残忍さで非難されたことはありませんし、私の顔に唾を吐きかけたり、もっとひどい目にあっても、落ち着いて行動するように努めてきました。最近では、「コロナウイルスで死んでほしい」と何度も咳き込んできた人がいても、平静を保っていました。

説明すると、 怒りを抑えることは、 私の仕事の小さな部分で、同様に超人であることが理想です。 どのような性格的特徴についても、両極端の間の正確な範囲を知ることが求められていますし、どのくらいどのタイミングで適用すべきかを正確に知ることが求められています。

私の仕事が信じられないほど難しいことをお見せしましょう。私は自分のやることをすべてカメラに収めなければならず、それによって自分自身を含めた誰からも批判されなければなりません。私は常にどこにでもいなければならないし、すべての人のために、即座に、そして完璧に何でも対応しなければなりません。

これは同情を得るためではなく、皆さん方が見えていないものを見抜くための洞察力を提供するためにお話します。ほとんどの警察官が私のような善良な人たちであることを説明するためにこのようなことをしています。私は、「善人の一人」というコメントに、自分が例外であるかのように、どのように心のどこかでうんざりしているのかを説明したいと思います。なぜなら、真実は、私が標準的だからです。

私はこの点を裏付ける統計的な現実を指摘したいと思っていますが、悪い警官が間違った判断をしている生の映像と比較してみると、数字は決して重要ではないようです。そして悲しいことに、私は一人の人間であり、自分の意思決定の範囲をはるかに超えることはできません。しかし、私はできることをし、模範となるようにつとめています。しかし、この国の80万人の警察官の行動を説明することはできません。

ほとんどの人は、私のように、善を行うため努力します。ただの人間にすぎないが、一部の人は間違いを犯します。明らかに、他でも、社会病質者であり、自らが投獄されるべき醜く忌まわしい罪を犯しています。宗教であれ、政府であれ、法執行機関であれ、すべての機関は時間の経過とともに進化することを指摘したいと思います。刑事司法制度の制度改革が必要ですが、、そのために 「警察」全体を悪者扱いする必要はありません。警官は皆同じではありません。

私は皆さん方が私を制服ではなく、性格の中身で判断するようお願いします。「私たち対彼ら」という考え方は、どちらの側にいても常に悪いものです。パトロールのシフトは非常に多様で、私は白人と黒人の血が入っています。私の部署の多様性に向けたこれらの人口統計学的傾向は、警察文化の全体的なシフトと一致しており、地域社会への縮小とサービスに向けられています。
私の部署は時代の先端を行っているかもしれませんが、私の狭い経験は必ずしも現状を示すものではありません。皆さん方と私は、法執行機関が改善されることに同意するでしょうし、予算上の制約がまったくなかったらどうなるかを考えることもできます。アイビーリーグの学校のような選択性と教育的難度、医師の長年にわたる訓練、文化人類学者のような洞察力、哲学者のような幅広い考え方を手に入れさえすれば。

私は、ため息をつきながら、皆さん方と一緒に嘆きたいと思います、進歩それ自体は、そうあるべきでるというほどすぐにできることではなく、完全にはならないと。私は、私が命と危険を冒してまで守ってきた人々から憎まれていることが、どれほど心細く奇妙なことなのかを説明したいと思います。私は、一生後遺症が残る背中の怪我をし、それ以外にも暴行や怪我を受けたことがあります。警察の葬儀に参列するのはどんな感じかお話ししましょう。皆さんを無視する、あるいはもっと悪いことに皆さんを憎む大衆のために戦って死ぬことは、多くの疑いを生じさせるが、それはまた顕著な性格の特質を語るものです。これが私に最も重くのしかかっていることであり、私が証言しなければならない日々の人間対人間の醜さの上に、さらなる混乱の層をかさねています。

私は時々、もし違う職業を選んでいたら自分の人生はどうなっていただろうか、そしてなぜ私は身体的健康、精神的健康、そして個人的な生活を見知らぬ人のために犠牲にし続けているのだろうかと考えることがあります。しかしやがて、善悪の倫理的考察の顕著な刻印が、生まれたときから退屈なほど私の中に刻まれ、時とともに深まっていき、私の心の中に刻まれるようになっているのです。

文明社会はルールなしには存在できず、人々はルールを守らなければなりません。誰かがポイントを取って、前に出なければならないのです。誰かがやらなければなりません。そして、それを行わなければならないのであれば、それは正しく行われなければなりません。仕事を正しくこなすためには、誠実さや個人的な犠牲といった理想を深く刻む人々が必要です。

歴史の弧を正義に向かって曲げる要因の一つが犠牲であることは明らかです。私は地域全体の利益のために苦しむことを選びます。なぜなら、それが私の性格に最も適した仕事だからです。草木が育つように、雑草を抜いたり、水を汲んだり、庭を耕したりして背中を痛めています。

私たちも皆さんと同じ様に悪徳警官にうんざりしていることを知ってほしいです。私たちは平等や正義を信じ、要求しているのだから、皆さん方と私はそれほど違わないし、私はあなたの敵でもありません。そして、私たちは同じものを求めているので、私たちの間にそれほどの暗闇は必要ありません。私たちはともに、人類のために肯定的な変化を見たいと思っています。ですから、私たちは、トンネルの先にある光に目を向けています。

ジョージ・フロイドの最後の瞬間を見たとき、私は胸の内を表したい。恐怖と非人間性のためだけでなく、それが私の職業にとって意味するもののために。私はコップのような手に水の溜まりを思い浮かべます。小さな、繊細に構築された信頼と自信の貯水池は、壊れやすくて弱く、指の間をすり抜けて、夢のように消えていく。

次の反応が見えます。手をまるめ握りこぶしをつくり、私のような何千人もの正直な警察官が直立し、死の脅迫やビンやレンガを顔に投げつけられたり、銃撃を受けることになります。

真夜中に両親の家のドアをノックする白い手袋の前兆がみえます。あまりにも恐ろしいニュースの前触れです。ですから、皆さん方と私は話をし、皆さん方に同情し、皆さん方の不満に耳を傾け、生産的な方法で前進する方法についての提案を受け入れるでしょう。怒りがあからさまな混乱や狂気に陥らないようにお願いします。お互いに傷つけないようにして、お互い無事に帰れるようにしてほしいです。私が持っている全てのもので、全力をつくし、みなさんの安全と権利を守ります。

この会話の最後に、私が何者なのかではなく、私が何者であるかを理解して欲しいです。 馬鹿げたことやロボットのように聞こえないように何か寛大なことを言おうとすることで、物事を終わらせたいと思っています。 決まり文句を繰り返すのではなく、皆さん方がまだ私を憎んでいたとしても、911に電話したり、助けを求めたりしたら、私はすぐに駆けつけます。お約束します。 必ず駆けつけます。そして、私は手のひらを開き、伸ばした私の手を差し出します。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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