トランプ政権 : 3部構成からなる移民改革の政策目標を発表

トランプ政権は、不法移民問題に精力的に取り組んでいます。オバマ政権時の移民に寛容さのツケが米国の分断を引き起こしているという見方もあります。ここでは、トランプ政権が、不法移民、DACA, ドリーマーズなどの取り組みの政策を発表したアメリカのWahington Examinerの記事を紹介いたします。Washington Examinerは、政治上のニュース、分析、研究などの発信しています。
post 2017/10/11 12:28

Washington Examiner  by Anna Giaritelli | 

国境警備、内部統制、および能力評価制度のビザシステムに焦点を当てた移民改革政策の作成を、トランプ大統領が議会に提案する見込みだ、と上級のホワイトハウス当局者が日曜日の夜に記者達に語った。

省庁間および一般議員との談話に応えて、政府は、若年移民に対する国外強制退去の延期措置(以下「DACA」)を段階的に縮小するためにどのように対応すべきか議論する中で、行為項目のリストをまとめた。

ホワイトハウス当局者は、バラク・オバマ前大統領の2012年の執行措置であるDACAについて言及していないが、政府提案に盛り込まれた3つの項目は、改革に必要とされている様々な連邦政府部門の調査結果、最優先事項を表すとしている。政府は今週、その構想を議会と共有する見通しである。

「特別の利害関係によってどのような政策が支持されているかではなく、国益を保護するために不可欠な改革は何かを見極めるよう、我々は米国の法執行専門家に要請した。」と、トランプは書簡で述べている。「これを受けて、彼らは危険な抜け穴や時代遅れの法律、移民制度の脆弱性を容易に悪用した。すなわち現行政策は、我々の国や地域社会に害を及ぼしている。」

米国とメキシコの南西国境を守ることを約束したトランプのキャンペーンを維持していながら、政府は国境の壁の「十分な資金調達」を推奨するが、そのような事業の推定費用は公表していない。

国境警備の変更の大部分は、米国に到着する人々や、入国しようと試みる際に税関・国境取締局官や国境監視員に逮捕された人々に関連する政策に向けられている。

ホワイトハウス当局者は、「国境警備は1990年代から大きく変化した」と述べた。「システムを悪用することを学んだ多くの不法移民や密輸業者は、あらゆる種類の退去を免れることができた。」

トランプ政権は、保護者のいない未成年の子供たち、つまり「同伴者のいない外国人の子供たち(UAC)」に関する改革法を提案し、「早急に自国に送還」させる予定だ。そのようにすることによって、その効果は、現在自身の件の判事による判決言渡しを待っている50万人以上もの亡命要求案件の未処理分の負担を解消する一助となるのだ。

さらに370名の移民担当判事、1,000人の米国移民税関執行弁護士、300人の連邦検察官が、未処理案件を清算するために必要とされている。

トランプはまた、本国送還された後に米国に再入国しようとする人々に対して厳しい罰則を求め、移民政策の議会改革にケイト法(Kate’s Law)を含めるよう求める見込みだ。この法案は、本国送還された後に米国に戻ろうとして捕まった不法移民の罰則を強化するものと思われる。

政府の移民改革の提案の第2の要素は、強化された内部統制である。

記者と会談したホワイトハウス当局者が語ったところによると、このような移民問題の局面に焦点を当てているICE(移民税関執行局)職員が直面する最大の問題は、とにかく「人的資源が不足していることと、国内における入国管理の実施当局が不十分であること」とのことだ。

大統領は、1月25日の大統領命令で最初に呼びかけたICEの執行および退去業務機関(Enforcement and Removal Operations agency)に6,000人の役員を補充するため、10,000人の役員を雇用したいとしている。

この動きは、南部の国境侵入者ではなく、主に、米国で最も多くの不法移民を構成するビザ切れの不法長期滞在者に焦点を当てるであろう。

先月、イリノイ州の連邦裁判官に妨げられたにもかかわらず、政府は、連邦の拘禁要求を受け入れない聖域都市に対する補助金交付を制限し、そうした都市や州に対してインセンティブを生み出すことを議会に求めるつもりだ。

またトランプは合法移民制度を能力評価制度に変更するよう求め、連鎖的な移住を終結させようとしている。

8月に、トランプは修正されたレイズ法(Raise Act)を承認した。アーカンソー州の共和党上院議員トム・コットン(Tom Cotton)とジョージア州のデイビッド・パーデュー(David Perdue)は同修正法の最新の情報を公開し、その内容を褒めちぎった。すなわち、修正された同法は、現行の米国居住者の家族に恩恵をもたらすことの多いシステムを廃止し、一連の潜在的な移住志願者の能力を重視するとともに産業界のニーズを満たす人に有利に働くものに置き換える方法であるとしたのだ。

Raise法は、アリゾナ州のジョン・マケイン(John McCain)、サウスカロライナ州のリンジー・グラハム(Lindsey Graham)、およびフロリダ州のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)各上院議員が2013年に「ギャング・オブ・エイト」の法案で試みたものよりも、移民改革への新たなアプローチとなっている。GOP(共和党)が大多数を占める議会が1996年の条項で入国者数を削減しようとする試みに失敗して以来、グリーンカード改革の最も重要な類型である。

「ギャング・オブ・エイト」とは、・・・米国議会内の8人の指導者の集まりであり、幹部が機密情報を機密扱いしたことを報告した口頭の言葉 上院下院のリーダーから選ばれる。

家族移民のカテゴリーは、もはや、拡大家族や米国市民である成人した子どもを含まなくなるように狭められるだろう。また一方、市民は高齢の両親のために更新可能な一時ビザを申請することができる。

法案が可決されれば、米国に入国する毎年100万人の合法移民の数は、2027年までに50万〜60万人のある時点まで下がり、歴史的な規範に沿ったものになるだろう。

インターネットに接続して、求職者が米国での就労にかかる法的行為能力を有しているかを確認する手段を雇用主に提供するE-Verifyもまた、全国的に必要とされ、遵守していない政府の請負業者は契約が解除されるという目に遭うだろう。

下院司法委員会のボブ・グッドラット(Bob Goodlatte)会長は、日曜日の夜、この提案を賞賛した。

「トランプ政権は移民法と国境警備の執行に取り組むための真摯な提案を出しており、これらの政策の多くは下院司法委員会を通過した立法に含まれている」とグッドラットは声明で述べた。

「移民に関する議長のワーキンググループのメンバーとして、我々は政府の優先事項を再検討し、移民制度と法の支配に与える影響を考慮するのに時間を要するだろう。しかしながら、一つだけ明らかなのは、まず第一に違法移民の根底にある問題のすべてを修正せずしてDACAの問題を修正することはできないということだ」

昨年の選挙運動の間、トランプは、未成年時に米国に入国した不法移民が2年間の延期措置と就労許可を受けることを許可した2012年の政策を「即時停止」すると約束した。受益者の承認は2年間存続し、当人が良好な法的立場にとどまっていれば更新することができるはずだった。

議会が包括的な移民改革を可決できなかったため、一つの候補としてあげられた、オバマ大統領の第2期国土安全保障秘書官であるジュン・ジョンソン(Jeh Johnson)がメモを付けて強引に押し付けた「恩赦」のプログラムを、トランプは激しく非難した。

保守派がDACAを「恩赦」と呼んでいるのは、受益者の両親が行った違法行為の結果を赦免するためだ。

彼の就任直後に、トランプはDACAの廃止への公約を揺るがすように見えた。 彼はあるニュース報道に対し、「私たちは皆さんを大切にするつもりですから、絶対に心配しないでください。」と述べた。

その後4月に、トランプは、DACAの受益者に関連付けて、「その反対の立場を理解する」ために「特別な心が必要です」と述べ、思いやりのある所見を繰り返し述べた。

トランプは翌3月までにDACAを廃止すると述べ、子どもの頃に不法に移住した移民を保護する法律を議会が可決するよう奨励した。

DACAに関する3つの法案が最近数ヶ月に発表された。これには、アリゾナ州上院議員ジェフ・フレイク(Jeff Flake)の発案による国境警備と延期行動受益者救済法(Border Security and Deferred Action Recipient Relief Act)、サウスカロライナ州上院議員リンゼイ・グラハム(Lindsey Graham)とイリノイ州上院議員ディック・ダービン(Dick Durbin)の発案によるドリーム法(Dream Act)ならびに共和党の上院議員でオクラホマ州のジェームス・ランクフォード(James Lankford)およびノースカロライナ州のトム・ティリス(Thom Tillis)の発案によるサクシード法(Succeed Act)が含まれる。

ホワイトハウスは、どの法案にもいずれも署名しなかった。

トランプは2週間前に共和党と民主党との議論でレイズ法(RAISE Act )に言及した。民主党は、より厳しい国境安全保障の引き換えに、DACAの立法版を作成するトランプとの取引を成立させることができることを示した。

しかし、民主党が描いた取引は、主に彼らの立ち位置にとって都合がよいものだった。すなわち彼らは、自分たちがいわゆるドリーマーズの市民権への道を強く主張しようとするもので、また、自分たちが支援できる国境措置は本来国境執行計画作成のための政府の呼びかけの言葉であると述べた。

下院国土安全保障委員会のマイク・マッカウエル議長は、国政は国境改革の進展を達成する最良の立場にあり、実施する必要があるだけの計画を持っていると述べた。

(翻訳 K・M)

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