【東地中海:ガス貯留層】米国の支援を受けた東地中海の新たな友情

レバント堆積盆地でのガス田の発表については、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の2010年の宮本善文氏のレポートに詳細が記されていました。その中で米国の地質調査書によるレバント堆積盆地の評価は、 3つの評価地域を合計すると、天然ガス 122 Tcf、 原油17億bblだそうです。
この地域の地政学的混乱は、資源が深くかかわっていることが否めません。また、この地域の問題は、日本から遠い地域ということもあり、あまり日本で報じられていないのでしょうか。
この記事は、  Begin-Sadat Center for Strategic Studiesに掲載された英国ラフバラ―大学のジョージ・ツォゴポロス博士 によるものです。非常に興味深い記事ですので、ぜひご覧ください。すべては繋がっているようです。

Post by Mariko Kabashima 2019/04/15 20:50

トップ写真: 米国ポンペオ国務長官、 キプロスのニコス・アナスタシアディス大統領、
イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ大統領、 ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相  

BASA by Dr. George N. Tzogopoulos
BESA Center Perspectives Paper No. 1,137, April 10, 2019

エグゼクティブサマリー:
東地中海パイプラインは、キプロス‐ギリシャ‐イスラエルでの共同のフラッグシッププロジェクトであり、深い礎となる友好関係を発展させている。米国は現在、このパートナーシップを公式に支持している。

キプロス、ギリシャ、イスラエルは、同じ利害と価値観を共有し、信頼できる同盟国であることから、東地中海で強固なパートナーシップを発展させている。彼らはパートナー以上に友人となりつつある。ベエルシェバで会議からわずか3カ月後にエルサレムで開催された第6回三者首脳会議では、調和された協調関係が示された。

米国は当初から、3カ国の中で東地中海における民主主義ブロックの形成を支持してきた。ここ数ヶ月で、その支援が公式なものとなった。昨年12月にはディビッド・フリードマン米イスラエル大使がベエルシェバでの会議に出席し、エルサレムのサミットにはマイク・ポンピオ国務長官が出席した。三国間の外交政策における米国の役割は明確に慣行化されている。

米国人の関心は、レバント盆地での天然ガスの発見によって説明される。例えば、エクソン・モービルは先月、キプロス沖で別のガス貯留層、グラウカスを発見した。これらの発見は、米国にビジネスチャンスをもたらすだけでなく、エネルギー安全保障をももたらす。米国は相手国に多角化政策の維持を求めている。盆地など米国が安全と考える資源から西側諸国が輸入すればするほど、ロシアへの依存度は低下する。

しかし、トルコの侵略的政策のために、東地中海での発見は遅れている。アンカラがキプロスの排他的経済水域 (EEZ) で軍事演習を実施したり、イタリアのENIなど外国企業の掘削作業を妨害したりするのは珍しいことではない。それがポンペオ国務長官のエルサレムでの存在が特別な意味を持っていた理由である。東地中海パイプライン建設の可能性に関する最初の合意は、トルコの領土案から除外されたため、アンカラをいら立たせている。

ワシントンには、トルコが西側的な外交政策をとることはもはや不可能であるという一致した見方がある。エルドアン大統領がロシアからS-400ミサイルを購入したことは、この再評価を支持する要因である。エルドアン大統領は当面、トルコが購入を継続し、米国の圧力に逆らうと主張している。東地中海パイプラインに対する米国のサポートは、アンカラの動きを正常化にするための警告として機能する可能性がある。

その計画は高価で困難を伴うだろう。実際、イタリアは以前の合意に反対し、今では参加をためらっているようだ。それでも、米国がこのプロジェクトの実現を主張する限り、障害は克服されるだろう。

エルドアン大統領の選択に関係なく、キプロス、ギリシャ、イスラエルは協力を深めていく。この連結は重要である。NATOは特に南部の課題への対応を重視しており、そのような状況においては、同盟の地中海対話が活性化されつつある。イスラエルの貢献はすべての関係国に利益をもたらすことができる。これには、アルジェリア、エジプト、ヨルダン、モーリタニア、モロッコ、チュニジアが含まれる。

ギリシャとキプロスは、なぜイスラエルの安全保障が根本的な優先事項であるべきかをEUのパートナーに再認識させる機会を得るだろう。中東で唯一の民主主義国家のセンシティビティを無視し続けるブリュッセルが、中東で積極的な役割を担おうと考えるのは、確かに奇妙なことである。皮肉なことに、近年ヨーロッパで起きているテロ攻撃は、この問題に対処するにあたってイスラエルのモデルを研究する必要性を強調している。

3カ国 (特にギリシャとイスラエル) は、良い勢いの恩恵を受け、東地中海における一帯一路の実施と中国の投資の進展について議論することができる。
ギリシャもイスラエルも中国企業への関心が高い。2020年以降ハイファ港を運営することでイスラエル当局と合意した上海国際港グループ(SIPG)は、コンテナ船の輸送を促進するため、中国海洋海運と提携した。中国が西側の敵対国とみなされている時期に、COSCO(訳注:中国の国有海運会社)のピレウス港(ギリシャ)への投資が成功したことは、この見解に疑問が残る。

執筆者: ジョージ・N・ ツォゴポロス博士 (Dr. George N.Tzogopoulos): ラフバラ大学博士号、 メディアおよび国際関係ならびに中国問題を専門とする。

BESAリサーチアソシエイト、Democritus University of Thraceの講師、European Institute of Niceの客員講師。

Special Thanks to Dr. Dr. George N.Tzogopoulos

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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